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【首都圏】

<しみん発>サクラソウ 次の100年も 田島ケ原サクラソウ自生地を守る会・福島一之さん(78)

田島ケ原サクラソウ自生地でガイドをする福島さん(奥)=さいたま市桜区田島で

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 日本で最初に指定された天然記念物の一つ・田島ケ原サクラソウ自生地(さいたま市桜区)が今年、指定から100周年を迎える。しかし、サクラソウの株数は年々減少しており、昨年はついにピーク時の2割にまで落ち込んだ。「田島ケ原サクラソウ自生地を守る会」の福島一之さん(78)は「このままでは次の100年はとてももたない」と保護を訴え続けている。 (田口透)

 荒川河川敷に広がる約四ヘクタールの自生地では三月下旬から淡い紅色のサクラソウが花を咲かせ、訪れる人の目を楽しませている。かつて自生地は荒川沿いに点在し、江戸時代には名所花暦にも取り上げられたが、明治以降の開発などで消失して唯一、田島ケ原が残った。一九二〇年七月十七日に国の天然記念物第一号に指定され、五二年には特別天然記念物に指定された。

 ピーク時の二〇〇三年には二百三十四万八千株を数えたが、年々減り続けて一四年には百万株を切り、昨年は五十三万七千株とピーク時の23%にまで落ち込んだ。専門家はその原因について、湿地の乾燥化▽コバギボウシなど競合種の拡大▽マルハナバチなどポリネーター(花粉媒介者)の不足−などを挙げる。また、サクラソウは地下茎でクローン繁殖するが、本来の花粉媒介がないと遺伝的多様性を維持できず、環境の変化で突然消滅する恐れもあると指摘している。

 「守る会」は現地での観察会やガイド、イベントなどを通じて活動。福島さんは現地に足を運び、ホームページで自生地の現状を伝え続けているほか、行政などへも働き掛けてきた。

 しかし、株数の減少で明らかなように自生地保護の抜本的な対策は取られていないのが実態だ。福島さんは「二十年ほど前に出された市教委の報告書では、自生地(コアゾーン)と、それを取り囲む桜草公園(バッファゾーン)を一本化して保護するという青写真まであったが、具体的には進んでいない」と指摘する。

 自生地と、周囲の公園を管轄する部署がそれぞれ異なるなど、自生地の保護のためには担当する行政の一本化も必要という。

 県の花、市の花にもなっているサクラソウだが、自生地での減少に、福島さんは「この百周年を次へのスプリングボードにしたいが、このままではとてもあと百年はもたない。最後のとりでとして守ってほしい」と訴えている。   

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<ふくしま・かずゆき> 1941年、東京都生まれ。さいたま市在住。大手旅行会社を60歳で定年退職し、「守る会」には発足翌年の2009年に加入。自然が好きで趣味は登山、野鳥観察、写真撮影など。

 

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