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【社会】

<税を追う>兵器購入「第二の財布」 補正で「本予算膨張」批判逃れ

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 自衛隊の艦船建造をめぐり、本来は自然災害や不況対策などに組まれる補正予算を、防衛省が本予算(当初予算)と一体で活用していたことが明らかになった。安倍政権で急増する米国製兵器の導入で、本予算だけでは賄いきれず、補正予算が「第二の財布」になっている格好だ。本予算の大幅アップには世論の目が厳しく、専門家らは「本予算を小さく見せるフェアではないやり方だ」と批判する。 (「税を追う」取材班)

 「最近、予算が増えているとはいえ、世の中は防衛費ばかり認めないでしょう。社会保障費だって必要だろうと」。自衛隊の幹部は、艦船建造費が本予算と補正に振り分けられた事情をそう語る。

 防衛予算は二〇一三年度から一八年度まで六年連続で増額。一六年度当初予算で初めて五兆円を突破した。その一方で、高額の最新鋭戦闘機F35や輸送機オスプレイなどの米国製兵器や、国産の新型護衛艦なども毎年のように導入しており、複数年度で支払う兵器ローン(後年度負担)残高は積み上がるばかり。

 「正直、足りない。国防族の先生(国会議員)方は防衛費をもっと増やせと言ってくれるが、現実は難しい」と幹部は言う。

 そこで事実上、抜け道に使っているのが補正予算だ。防衛省は一四年度以降、当初予算を補填(ほてん)するように毎年二千億円前後を追加している。この中には一一年度の東日本大震災や頻発する台風・豪雨災害に対応した予算もあるが、一四年度からは北朝鮮情勢など「安全保障環境への対応」を理由に兵器調達費を次々と計上。一七年度は主な項目だけで千八百億円に上る。補正予算を加えると、防衛費はすでに一四年度から五兆円を超えている。

 防衛省は「早期に必要なものに補正予算を充てている」と説明する。だが予算編成に詳しいある元防衛省幹部は「かつては補正で装備品を買うことは考えられなかった。何でもありになっている」と心配する。

 防衛装備品の補正予算への計上は、二年目以降の支払いの一部を前倒しすることが多い。元幹部は「補正に支払いの一部を前倒しすれば、その分、本予算で新しい装備品を買う枠ができる」と本音を語る。

 国産と輸入兵器のローン支払いは、一九年度予算の概算要求で二兆七百八億円。だが、同時に返済額を四千億円以上も上回る二兆五千百四十一億円の新たな後年度負担が見込まれており、借金はさらに膨らむ。元幹部が「自転車操業」と表現する悪循環に歯止めがかからない。

 その先に見え隠れするのは、税金を原資としたさらなる防衛費の大幅増だ。

◆補填 安倍政権で顕著に

 防衛費の補正予算は、旧防衛庁が省に移行した二〇〇六年度以降、一〇年度までは〇六年度の五百六十一億円が最高で、内容は燃料の油購入費や米軍基地対策費などが中心だった。

 ところが、東日本大震災を受けた一一年度の三千三百億円を除き、第二次安倍政権発足後の一四年度からは、それまでの二倍の規模に増大し、二千億円前後で推移。一七年度は二千二百七十三億円と、〇六年度以降で最高を記録した。

 装備品関係の支出が目立っており、「武器車両等購入費」「航空機購入費」「艦船建造費」の主な項目の合計でも一五年度から三年連続で一千億円を超え、一七年度は千七百九十三億円と急速に増加している。哨戒機やミサイル、装甲車などのローン(後年度負担)払いが含まれる。

 国内外の兵器導入に伴うローン残高は一八年度予算で約五兆八百億円と急増しており、支払いの一部を補正予算に計上していることが、補正増大の要因とみられる。

◆正直でないやり方

<軍事ジャーナリスト清谷信一氏の話> 国の借金が巨額に上り、消費税増税が必要だといいながら、防衛費にじゃぶじゃぶ使えば世論の批判を浴びる。事実上、本予算を小さく見せるために補正予算を使っている。実質的に本予算なのに、この補正予算は別です、と国会に提出するのは正直ではないやり方だ。

 

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