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【社会】

福島原発事故後作業 長時間労働で過労死認定

昨年10月に亡くなった猪狩忠昭さん。長時間労働の過労死で労災認定がされた=遺族提供

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 東京電力福島第一原発で事故後、自動車整備作業に従事していた福島県いわき市の猪狩忠昭さん=当時(57)=が昨年十月、敷地内で倒れて死亡したのは、長時間労働による過労が原因として、いわき労働基準監督署が先月十六日、労災認定したことがわかった。原発事故後、長時間労働による過労死認定は初とみられる。過酷環境下で、早朝出勤などを強いられる作業員に対し、会社と原発間の移動時間も労働時間として認められた。使用者側の労務管理のあり方が問われそうだ。 (片山夏子)

 猪狩さんは一次下請けで自動車整備・レンタル業「いわきオール」(いわき市)の整備士だった。二〇一二年三月から、原発内で敷地内専用の車両の点検と整備を担当していたが、昨年十月二十六日の昼すぎに倒れ、約一時間半後に病院で死亡が確認された。死因は致死性不整脈とされた。

 東電は「病死」と発表したが、遺族らによると、猪狩さんは亡くなる半年ほど前から作業に追われて疲労や体調悪化を訴えるようになり、死の三日前からは血圧が上がり、歩くのもつらそうだったという。

 遺族らは、亡くなる直前の六カ月の時間外労働が月八十時間超、直前一カ月を含む四カ月が百三十〜百十二時間だったとして、今年三月に労災申請。労基署は直前一カ月に百時間、または二〜六カ月で月あたり八十時間超とする「過労死ライン」の基準を満たすと判断。会社と原発間の移動時間も労働と認定した。

 原発事故後の作業をめぐっては、一二年、作業中に心筋梗塞で死亡した静岡県の男性が「過労が原因」として労災認定されたが、長時間労働を原因とした認定は例がないという。

 今回の労災認定について、いわきオールは「健康や労務管理は適切にしていた。長時間労働で認定されたなら、当社の認識と違い誠に遺憾」とコメント。東電と元請けの宇徳(横浜市)は「直接雇用関係になくコメントする立場にない」としている。

<過労死ライン> 厚生労働省が示す脳や心臓の疾患を労災認定する際の基準。時間外労働が「発症前1カ月に100時間」または「発症前2〜6カ月にわたる期間で1カ月当たり80時間超」を目安の一つとしている。ただし、同省が残業上限とする月45時間を超え、残業時間が長いほど、業務と発症の関連性が強まるとも規定され、この基準を下回る労働時間でも過労死と認定される場合もある。

 

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