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【社会】

無登録で83億円集金か 会社役員ら8人逮捕 金商法違反容疑

セナーの投資勧誘に使われた資料

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 金融商品取引業の登録を受けずに米国の投資会社「SENER(セナー)」をかたって出資を募ったとして、警視庁は十四日、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで、リゾート会員権販売会社代表取締役柴田千成(かずなり)容疑者(46)=東京都港区白金台三=ら男八人を逮捕した。 (神田要一、福岡範行)

 生活経済課によると、柴田容疑者らは昨年二〜六月、全国五千八百十人から総額約八十三億円を集めたとみられ、ほとんどは仮想通貨「ビットコイン(BTC)」だった。BTCは金商法の「金銭」に該当せず、原則として規制対象外とされるため、現金分のみを立件した。同課は、柴田容疑者らが規制の抜け穴に目を付け、BTCで集金していたとみている。

 逮捕容疑では、昨年二〜五月、都内や千葉県に住む四十〜七十二歳の男女九人から、無登録で先物取引への投資を募ったとされる。九人から現金で計約三千万円を集めていた。

 同課によると、柴田容疑者ら二人は「間違いありません」と容疑を認め、四人もおおむね認めている。二人は否認している。

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 柴田容疑者らは昨年二月から、各地でセミナーを開き、セナーの「インデックス先物取引」への出資を勧誘。月利3〜20%の高配当とセナーによる元本保証を約束し、BTCなどで八十三億円相当を集めていた。知り合いを勧誘すれば紹介料が入るとするマルチ商法で出資者を増やし、柴田容疑者は集めた金を私的に流用していたという。

 出資者は会員制交流サイト(SNS)に登録後、出資額を「セナードル」と呼ばれるポイントに交換し、このポイントで配当や紹介料を受け取る仕組みだった。しかし、ポイントを換金しようとしても、なかなか受け取れなくなり、昨年六月に配当が止まっていた。

 同七月に結成された「セナー投資被害対策弁護団」によると、セナーは二〇〇七年二月に米国で設立され、ロンドン、パリ、東京など世界七都市に支社を設け、二千人以上のスタッフがいる、と宣伝していた。

 セナーは昨年十月、無登録で金融商品取引業を行ったとして、関東財務局から警告を受け、業者名や千代田区の事務所所在地が公表されていた。警視庁は今年二月に捜査本部を設置。五月と七月、容疑者宅など十六カ所を捜索していた。

◆被害5800人「家族に話せない」

 警視庁に逮捕された柴田千成容疑者らは、米国の投資会社「SENER(セナー)」による運用をうたった架空の金融商品を販売した顧客に、さらに別の客を紹介するよう求めていた。ねずみ算式に増えた顧客には、一度も配当を受け取れなかった人も少なくない。退職金をつぎ込んだ男性は「家族にも話せない」と肩を落とす。

 東京都内の会社経営の男性(57)は、約三十年勤めた会社を早期退職。個人事業者が集まる懇親会で四十代の女性投資家と知り合い、昨年五月ごろにセミナーへの参加を勧められた。

 セミナーでは、中年の男性講師がセナーの宣伝ビデオを流しながら、「元本保証で安心だ」「アメリカで有名な企業で、実績と信頼がある」などと説明。後日、女性投資家からも「自分も投資して利益を得ている」と言われ、退職金の三分の一に当たる約七百万円を指定された第三者の個人名義口座に振り込んだ。

 インターネット上の専用サイトでは、毎日一万円以上の配当をポイントで受領したことになっていた。しかし、配当の出金を申し込んでも、現金は振り込まれなかった。だまされたと思い、紹介者の女性投資家に問い合わせたが「私も被害者。投資は自己責任だ」と言われ音信不通になった。

 男性は「住宅ローンも残っており、家族に知られたら言い訳できない。なかったことにしたい」と唇をかむ。今年十月には、女性投資家に損害賠償を求めて提訴した。「二度と自分のような被害を出したくない。全額は戻らなくても最後まで闘いたい」と話した。

 

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