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【社会】

五輪費協議文書、公開より情報管理優先 都、議事録は作らず

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 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの準備で、開催費用の検討過程を非開示とした都の決定に「待った」がかかった。決定の取り消しを求めた都情報公開審査会の答申からは、情報公開に後ろ向きな都の姿勢が垣間見える。費用が膨らみ、都民や国民の負担増が懸念される中、理解を得るには透明性と説明責任が欠かせない。 (中沢誠、榊原智康)

 「大会経費について当時、二兆円、三兆円などの数値が報道され、都民に混乱を生じさせることになったため、情報管理を徹底することにした」。答申によると、都は審査会にこう説明した。

 五輪の分担や費用について、都、大会組織委員会、政府の三者は二〇一六年四月から実務的な協議を始めた。会合は「出席者をごく少数の上位職層に限定」「資料は打ち合わせ後に回収」といった密室ぶりだった。

 公文書管理に関する政府のガイドラインは、行政の意思決定過程を検証できるよう文書の作成を求めている。だが会合では「情報管理を徹底するために、議事録や議事要旨は作成しないことにした」という。このため、開示請求しても文書は出てこなかった。

 都の担当者は二年前の取材で、議事録などを作らないことについて「限られたテーマであり、出席者が議論の方向性を理解していれば事足りる」と述べていた。

 五輪の費用がいくらかかるのかは、当時から関心事だった。検討過程の記録がなければ、負担が増えても後から妥当性の検証ができない。審査会は「都の説明は合理的でなく、首肯できない」と疑問を呈した。

 招致段階で七千三百億円とされた開催費用は、大会準備が進むうちに膨らんだ。最新の試算では、都や国の負担を含む全体で一兆三千五百億円。民間資金は六千億円程度とみられ、残りは税金などを充てる。

 しかも、会計検査院は先月、千五百億円とされた国の負担分について、既に八千億円を支出していたと指摘。最終的な費用は依然不透明で、総額が三兆円を超える可能性も出ている。

 答申では、都の手続きにも注文が付いた。都は当初、「(文書の中に)都以外の者に関する情報があり、意見を聞く必要がある」として、文書があるかのような理由で開示決定を延長。だが最終的には「請求のあった公文書はない」と非開示を決めた。この矛盾する説明に、都は「理由として必ずしも適切ではなかった」と非を認めた。

 都の規定では文書が存在しない場合、理由を通知しなければならないのに怠っていた。審査会はこれも「重大な瑕疵(かし)」とした。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「記録を残すことで説明責任を果たすのが情報公開制度の趣旨。協議の場に複数の職員がいれば、手書きメモの内容は職員間で共有していることになるので、公文書にあたると判断していかないといけない」と話す。

 

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