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【社会】

法廷通訳、担い手不足 5年で200人減 ニーズ増

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 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が臨時国会で審議される中、外国人が被告になる裁判で必要な「法廷通訳」の担い手が不足している。裁判所が法廷通訳の候補者をリスト化した「通訳人候補者名簿」の登録数は二〇一七年四月時点で六十二言語三千八百二十三人で、一二年(同・四千六十七人)より約二百人減ったことが、静岡県立大学の研究グループの調査で分かった。 (中山岳)

 日本語の通じない外国人が被告や証人として裁判に出る場合、刑事訴訟法は通訳を付けることを義務づける。通訳の希望者は、各地裁で「通訳人候補者名簿」に登録され、裁判所から事件ごとに依頼を受け、法廷で通訳したり、検察官や弁護人が作成した書類の翻訳をする。

 同大の教員らでつくる「法廷通訳研究会」は、一二年と一七年、裁判所の通訳人候補者名簿の登録者数の推移を調べ、担い手が減っていることを突き止めた。

 また、法廷通訳経験者にインターネットでアンケートを実施。延べ百五十六人の回答を分析したところ、半数以上が法廷通訳のほか、会議通訳や、大学講師などを掛け持ちしていた。報酬については六割以上が「少ない」「どちらかと言えば少ない」と答えた。

 国際関係学部の高畑幸教授(社会学)は「法廷通訳の依頼は不定期で、一回の通訳料は一万五千円程度。公判前に準備する資料の翻訳は無報酬だ。担い手の中心は一二年調査で四十代だったが、一七年では五十代に上がり高齢化の兆しもある。外国人の人権を守る責任の重さに比べて収入が低いことが、担い手を減らす原因ではないか」とみる。

 法務省の犯罪白書によると、一二〜一六年に通訳人が付いた刑事裁判の被告は約二千三百〜二千七百人で増加傾向にある。言語は中国語など約四十。

 入管難民法改正案が成立すれば外国人労働者が増加し、外国人が関係する事件や紛争も増える可能性がある。通訳人の担い手が少ないままではより負担が重くなり、誤訳や冤罪(えんざい)を生むリスクも高まる。高畑教授は「待遇改善や研修の充実が必要だ」と訴える。

 

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