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【社会】

<バス内転倒 運転手座談会>(1) 「みんな運転手のせい?」

運転中のトラブルなどについてさまざまな意見が交換されたバス運転手の匿名座談会=東京都千代田区で

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 乗り合いバスの発車時や急停車時に高齢者ら乗客が車内で転倒する事故が多い問題を本紙で取り上げたところ、「ぜひ、私たちの声を聞いて」とバスの運転手から連絡があった。そこで、首都圏のバス会社に勤務する40〜60代の男性運転手9人(OB2人を含む)に集まってもらい、東京都千代田区の本社で座談会を開いた。

 乗り合いバスの運転手は、一人で車内の安全確認を担う。満員時には七十人の命を預かり、鋭い視線であらゆる方向に注意を払いつつハンドルを握る。そんな姿が「無愛想」という印象を乗客に与えているのかもしれない。

 しかし、座談会に集まった九人はみな笑顔。まずは、乗客の転倒をどうみているのか聞くと、乗客が運転中に席を移るケースが話題に。転倒を防ぐため、これはご法度だが−。

 <A>だるまさんが転んだ現象って、よくあったよね。

 <B>ミラーで車内を確認すると、席を移動しようとした乗客もミラーを見ていて目が合う。怒られると思って動きを止めるんだ。

 「それ、今もあるよ」と複数の運転手。なぜ移動するかというと。

 <C>日に当たるのが嫌みたい。カーブで日の向きが変わるから。

 乗客が転倒した経験は、三人が語ってくれた。

 <A>女性が通路の段差にハイヒールのかかとを引っ掛けて転んだ。二十年ほど前。乗客が「つり革につかまっていない自分が悪い」と思っていた時代だから、何も言ってこなかった。

 <D>私はバス停で止まる時だった。乗客が早く降りようと後ろから走りだし、ブレーキに踏ん張れず転倒した。

 <E>信号での発車時にドンと音がして、高齢者が転倒していた。

 都営バスのデータでは、急停車時の転倒が最も多かったが、「そうなの?」と意外そうな意見も。

 <F>ベテランはよほどのことがない限り急ブレーキを踏まない。運転が未熟な新人に多いかも。

 <G>バスはブレーキを踏んでも最後にちょっと離す。キュッと止まるのを防ぐためで、私たちは「抜く」と言っている。

 <A>運転手はシートベルトをつけてハンドルを握っているけど、乗客は立っている。急ブレーキの感じ方に差があるかも。

 では、急ブレーキはどんな時にかけるのか。

 <H>自転車の車道走行が増えている。バス停で止まる時、左側をすり抜けようとする自転車を見落とせば急ブレーキになる。歩道から車道に急に出るケースも困る。

 <D>車の急な車線変更も怖い。「バスなら譲るだろう」と大胆にハンドルを切ってくる。

 バスの発進を妨げることは道路交通法で禁じられていて、乗用車が違反した場合、反則金は六千円だ。

 <I>この法律を知らない人も多いよね。

 乗客や周辺の車、自転車の無理解が転倒の背景にあっても、「みんな運転手のせいになる」という意見には、一同がうなずいた。笑顔は消え、バスへの協力と配慮を求める声が切実に響いた。

 一方で、「バス」取材班には乗客ら読者から九十通近い意見や体験談が寄せられている。読者からの注文をぶつけてみると−。

     ◇

 この連載は、座談会でのやりとりだけでなく、読者の意見や追加取材した内容を交えて構成しました。

  (梅野光春、石原真樹、榊原智康、森川清志が担当します)

 

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