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【社会】

<バス内転倒 運転手座談会>(2) 安全確認 格段に増えた

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 「バス」取材班には、読者から九十通近い意見や体験談が寄せられている。その中には、運転手への注文も少なくない。例えば「着席を確認せず発車する運転手がいる」との声は、東京都大田区の伊藤敦子さん(78)ら複数から届いた。座談会の出席者はどう答えるか−。

 <G>気の短い人が車内確認しないで運転しちゃって、転倒事故が起きたというのは、うちの会社でもある。運行ダイヤを守らないと休憩が取れず、トイレに行けない焦りもある。

 <I>ダイヤに遅れてもベテランなら「どこかで取り戻せる」と思うが、熟練度が低いと「先を先を」と思ってしまう。

 せっかちな運転手はいるようだが、遅れを気にする理由の一つに乗客からの苦情がある。東京海洋大の寺田一薫(かずしげ)教授(交通政策)は「例えば、車いす利用者が一人いれば五分くらい遅れる。会社は苦情に過剰反応せず、ダイヤは遅れるものだと毅然(きぜん)とした態度を取るべきだ」と話す。

 「運転が荒っぽい」という声も複数あり、港区の内藤治郎さん(70)は「上手な運転技能を身に付けて」と注文する。運転手からは「個人の資質」だけでなく、業務量の増加に関係しているとの訴えが。

 <B>入社した二十年以上前と比べ、安全確認などで求められる項目が格段に増え、時間がかかるようになった。でも、ダイヤとか次の運行までの休憩時間は変わっていない。

 <D>バス停の数が二十年前の倍近くに増えた路線がある。それでも所要時分は変えていない。お年寄りの乗客が増え、昔より乗降に時間がかかるのに。

 国土交通省に聞くと、「バス停を増やしたらダイヤを見直す」という決まりはない。急(せ)かされるように運転する姿が浮かぶ。

 バス内転倒は高齢の女性が特に多い。運転手から乗客への注文も聞いてみた。

 <G>乗客は朝九時に通勤客から高齢者へと、がらっと変わるね。

 <D>おばあちゃんたちが「あそこのスーパーが安い」と車内で情報交換してる。荷物は両手で持たないで。転ぶのではとドキドキするから。

 <A>乗ったら必ずどこかにつかまって。握力に自信がなければ腕で棒を抱え込んでもいい。シルバーカー(高齢者の手押し車)の荷台部分に座る人もいるが、やめてほしい。

 <C>乗る時にシルバーカーを持ち上げられずほかの乗客に手伝ってもらう方もいる。バス利用者には足腰の弱った高齢者も多いことを、(急ブレーキの原因となる)ほかの車は知ってほしい。

 昔と比べ、運転手の業務量は増えているという。転倒の背景に忙しさがあるとすれば、なぜそうなったのか。座談会はさらに白熱して−。

      ◇

 本紙は首都圏のバス会社に勤務する運転手七人と元運転手二人による座談会を十一月、東京都千代田区の本社で開いた。九人は四十〜六十代の男性。この連載は、座談会でのやりとりだけでなく、読者の意見や追加取材した内容を交えて構成した。

 

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