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【社会】

「8年8000時間残業で自殺」 エーザイ部長 遺族が労災申請

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 製薬大手エーザイの部長だった五十代の男性がうつ病になって二〇一六年に自殺し、原因は昇進に伴う業務量増加や慢性的な長時間労働だったとして遺族が天満労働基準監督署(大阪)に労災申請したことが分かった。部長昇進から自殺までの八年で約八千時間残業し、過労死の労災認定基準となる「過労死ライン」(月平均八十時間)超えが約百カ月のうち五十六カ月に達したと遺族は指摘。長期間の過重労働で自殺に追い込まれたと訴えた。

 長期にわたる管理職の長時間労働の実態が明らかになるのは異例。男性は「管理監督者」として扱われ、残業時間制限がなかった。政府や企業は働き方改革を進めるが、管理職の対策強化を求める声が出そうだ。

 亡くなったのは泰敬さん=当時(50)=(姓は遺族の希望で非公表)で一九九〇年、エーザイ入社。二〇〇八年四月、関西のドラッグストアなど小売店営業を統括する部長に昇進した。

 大阪市内に住む妻(51)や申立書によると、泰敬さんは昇進前から残業時間が急増。同年二月は六十五時間だったが、三月八十六時間、四月七十二時間となり、五月は百二十六時間、六月は百四時間に達した。十月に初めて医療機関を受診して夏ごろからうつ病だったと診断され、死亡直前まで通院した。

 昇進後、人員削減の指示があり先輩社員を異動させなければならなかったことや取引先からのクレームの対応に追われたことなどで、心理的負担も増えたという。残業は多い月で百三十四時間に達し、長時間労働は亡くなるまで続いた。毎年の一カ月平均の残業時間を見ると、一二年から死亡前年の一五年まで八十時間を突破。一六年九月、京都市内の単身赴任先マンションで自殺した。

 遺族は休日出勤の負担の大きさも指摘。報告書作成や取引先との会合、出張などのため、移動日を含めた休日出勤は八年間で三百六十七日に及んだと強調した。

 遺族はエーザイが提供した勤務データを基に労働実態を分析。今年七月に労災申請した。

 エーザイは「心からお悔やみ申し上げる。長時間労働と死亡との関係を会社として判断する十分な根拠を持ち合わせていないが、遺族の申請を真摯(しんし)に受け止め誠実に対応したい」とコメントした。

<管理監督者> 労働基準法は、経営者と一体的な地位にある人を、労働時間や休日など労働時間規制の対象から除外している。企業は残業代の支払い義務がない。管理監督者に該当するかどうかは役職名ではなく(1)経営や労務管理について経営者と一体的な立場か(2)勤務時間の自由裁量があるか(3)一般従業員に比べ地位と権限にふさわしい賃金が支給されているか−など実態に基づき判断される。肩書だけで権限のない「名ばかり管理職」問題が以前から指摘されている。

 

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