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【社会】

婚活アプリ通じ乱暴被害 人間不信に 心の傷、一生消えない

事件についての思いを話す被害者=名古屋市で

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 恋人や結婚相手を探すインターネット上のマッチングサービスを悪用し、出会った女性に睡眠導入剤を飲ませて乱暴したとして、準強制性交罪に問われた男の判決公判が今月十一日、名古屋地裁であり、山田耕司裁判長は「被害者の人格を無視した卑劣な犯行だ」と懲役七年(求刑懲役八年)を言い渡した。被害女性の一人は今も親に打ち明けられないままだ。「一生、自分の中で背負っていくしかない」。卑劣な犯人が刻んだ傷はあまりに深い。 (日下部弘太)

 男は愛知県新城市の無職柳沢翔被告(28)。判決によると、柳沢被告は昨年四月三十日夜、名古屋市中区の飲食店で、アプリを通じて出会った女性=当時(29)=に酔い止め薬とだまして睡眠導入剤を飲ませた上で当時住んでいた中区内の自宅マンションに連れ込んで暴行した。同六月二十七日にも、同じ手口で別の女性=当時(30)=を乱暴した。

 六月に被害に遭った女性が今回、本紙の取材に応じた。女性は「年齢も年齢なので、良い出会いがあれば」と昨年五月末ごろ、婚活を目的にスマートフォンのマッチングアプリを使い始めた。会ったのは柳沢被告が二人目だった。

 スマホで何度かやりとりをした後、名古屋の繁華街である栄地区で初めて会い、飲食店に行った。柳沢被告はスーツ姿で、営業マンという感じだった。食事中、酔い止めだと言って錠剤を渡された。「親切だな」と思い、飲んだ。

 気が付くと、柳沢被告の自宅のベッドで、服を脱がされてあおむけになっていた。抵抗したが、平手で二回殴られた。次に覚えているのは一人で柳沢被告の自宅マンションを出た場面。それからも断片的な記憶しかない。

 柳沢被告は公判で「記憶がなくなるので女性は嫌な気持ちにならないと、当時は思った」と話し、同じ手口で十件ほど犯行を繰り返したと明かした。この女性に対しては、被害届を取り下げさせるために犯行後も会員制交流サイト(SNS)でしつこく連絡を取ろうとした。女性は「職場まで来るんじゃないかと、生きた心地がしなかった」と振り返る。

 事件後、少数の人を除き、会社の同僚や知人を心からは信頼できなくなってしまった。会社を辞めることも考えているという。このアプリの運営会社によると、会員数は累計で八百万人を超えた。同様の被害が根絶することを願う女性は「まさか自分がこんな目に遭うとは。使う時は警戒心を持った方がいい」と呼び掛ける。

<インターネットの恋愛・婚活マッチングサービス> スマートフォンやパソコンなどから自分のプロフィルを登録した上で、同じように登録された会員の中から好みに合う条件の相手を探せるサービス。相手が同意すると会うこともでき、特にスマホでの利用が広がる。ネットのマッチングを巡っては、児童買春など犯罪の温床になっていると問題視され、2003年施行の出会い系サイト規制法で、事業者に対して利用者が18歳未満でないことの確認を義務付けた。

 

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