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【社会】

築地跡地に国際会議場 「食」構想消え「稼ぐ」場に

解体工事が進む築地市場跡地=23日、東京都中央区で、本社ヘリ「おおづる」から

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 東京都は二十三日、豊洲市場(江東区)の開場に伴い閉場した築地市場(中央区)の跡地について、再開発方針の素案を公表した。核となるのは、国際会議場や展示場の機能を持つ国際的な交流拠点。小池百合子知事が掲げた「食のテーマパーク」構想の面影は消え、国に税収を奪われる危機感もあって「稼ぐ東京」を前面に打ち出した。 (石原真樹、長竹祐子)

 「食のテーマパークを超え、ウェルネス(健康)とか文化や伝統などを含めた形で築地に展開する」

 小池氏は二十三日、報道陣にこう話し、市場を残すことにこだわった二年前とは異なる見解を示した。一七年七月の都議選では「築地は守る」と訴え、都民ファーストの会を大勝に導いた。

 そして「築地は守る」基本方針として食のテーマパーク構想を打ち出したが、豊洲市場に観光拠点を整備する事業者が「競合する」と反発。小池氏は「一つの考え方」とトーンダウンし、事業者に陳謝して豊洲での事業を継続してもらった経緯がある。このため、方針変更は時間の問題だった。

 築地場外市場で約八十年間続く鮮魚店で働く女性は「小池知事に裏切られた思い。国際会議場なんて期待していない」。すし店の男性従業員(68)は「街のにぎわいが戻ってくれたらいい」と淡々と話した。

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■遠回り

 跡地は二〇二〇年東京五輪・パラリンピックで駐車場として使用。素案ではその後、跡地を民間に貸し付け、四つのエリアに分けて段階的に整備する。浜離宮恩賜庭園沿いに国際会議場を、隅田川沿いには船着き場を設置。大規模な集客施設も盛り込んだが、「具体的には民間の提案になる」(都幹部)という。

 大規模な展示場は国内に少ない。国内最大の東京ビッグサイト(江東区)は年三百件程度のイベントがあり「ほぼ満杯の状態」(担当者)。幕張メッセ(千葉市)やパシフィコ横浜(横浜市)も稼働率は高く、中小企業が商談できる展示会のニーズは高い。

 だが、展示場の整備は二二年ごろに事業者を募集し、開業時期は未定だ。全体の完成は四〇年代を見込み、およそ二十年後。都は業界団体から展示場を増やすよう要望を受けていたが、「築地は守る」方針に引っ張られ、結果として遠回りしたことになる。

■税金

 都は国による税の偏在是正措置で、二〇年度は新たに二千五百億円、二一年度以降は年四千六百億円の減収となる。さらに、跡地には一般会計から五千六百億円の税金を投じ、年百億円近い豊洲市場の運営赤字などに充てる。跡地を民間に貸し付けることで、収入をどれだけ増やせるかも課題だ。

 都の試算では跡地を段階的に貸し付けた場合、二九年度以降は年百五十四億円の収入があり、六三年度に合計額は五千七百億円になるという。都の担当者は「周辺への経済波及効果も考えられる」とそろばんをはじくが、目算通りとなるかは未知数だ。

 築地の跡地利用を巡っては「カジノを誘致するのでは」という臆測もあるが、小池氏は「素案の中にカジノという言葉は出てきていないので、その方向性でいきたい」と説明。現時点では検討しない考えを示した。

 素案は都民の意見を募った上で、三月末までに正式決定する。

 

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