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【社会】

ウランをネットで売買 出品・購入者を任意聴取

 インターネットのオークションサイトでウランの可能性がある物質が売買されていたことが三十一日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁生活環境課は物質を押収。日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)に鑑定を依頼した。劣化ウランやウラン精鉱とみられるという。出品した人物や落札した人物を特定しており、原子炉等規制法違反(譲渡など)容疑を視野に任意で事情を聴取。出品者が物質を入手した経緯を詳しく調べている。

 捜査関係者によると、出品されていたのはガラス管に入った微量の粉末。サイトには「ウラン99・9%」と記載されていた。簡易的な検査で放射線が確認されたという。

 原子力規制庁などによると、同庁職員が二〇一七年十一月末に、ヤフーのオークションサイトで物質が出品されているのを発見し、一八年一月に警視庁に通報。警視庁は出品者を特定するとともに、落札した複数の男性も特定した。十二月ごろに原子力機構に鑑定を依頼した。詳細な結果の判明には数カ月かかる見通し。

 政府は二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向け、爆薬で放射性物質を広範囲にまき散らして被害を与える「汚い爆弾」など核テロへの対策を進めており、ネット上での売買など不正な流通についても監視を強化している。

 原子炉等規制法は、許可を受けた事業者以外が劣化ウランなどの核燃料物質を譲り渡すことを禁止している。罰則は一年以下の懲役または百万円以下の罰金。

◆取り締まり強化を

<日本大の河本志朗教授(危機管理学)の話> 劣化ウランやウラン精鉱は、放射性物質をまき散らす「汚い爆弾(ダーティーボム)」としてテロで使われる恐れがある。その場合、放射性物質が検知されれば、微量であっても社会には非常に大きなインパクトを与え、人々に不安や混乱を引き起こしかねない。今回のケースのようにインターネットで売買されている実態が他にないかどうか、原子力規制庁や警察など関係当局が連携して取り締まりを強化する必要がある。

<ウラン> 放射線を出す元素の一種で、取り扱いは厳格な規制の対象となる。自然界に存在するウランには核分裂を起こしやすいウラン235は約0.7%しか含まれず、大半は核分裂しにくいウラン238が占めるため、原発の燃料や核兵器に利用するにはウラン235の割合を高める濃縮作業が必要になる。この濃縮過程で生じる廃棄物は、ウラン235の比率が天然ウランより低く、劣化ウランと呼ばれる。放射線量も低い。砲弾や銃弾として使う「劣化ウラン弾」は比重が大きく貫通力に優れ、米国など複数国が保有しているとみられている。

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