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【社会】

地方発ドキュメントに光 「座・高円寺」節目の10年 戦争テーマ

「ドキュメンタリーに親しんでほしい」と話すプログラムディレクター山崎裕さん=東京・赤坂で

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 テレビと映画の垣根を越えたドキュメンタリー映画祭「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」が10年を迎えた。節目の10回目は「戦争」がテーマ。6日〜11日、東京都杉並区の座・高円寺を会場に、戦前の従軍記録映画や最近のテレビ番組など18作品を上映する。関係者は、地方局制作のドキュメンタリー番組が映画化される近年の潮流をけん引してきたと自負する。 (宮崎美紀子)

 「テレビのドキュメンタリーは一、二回の放送で消えてしまう。昔の名作も新しい作品も幅広く集めてドキュメンタリーに親しんでもらおうと始めたんです」。著名なドキュメンタリーのカメラマンで、同フェスのプログラムディレクター山崎裕さん(78)=番組制作会社ドキュメンタリージャパン=は振り返る。

 約十年前、ドキュメンタリージャパンは、座・高円寺の館長だった劇作家・斎藤憐さん(故人)から「映像イベントをやりたい」と相談を受けた。同社がやれることといえば、ドキュメンタリー。テレビのドキュメンタリーが減っていくことへの危機感もあった。こうして二〇一〇年、映画もテレビも同等に扱う同フェスが誕生。年一回のペースで開催されてきた。「ほそぼそですが、よく十年も続いた」と山崎さんは感慨深げに話す。

 当時はテレビドキュメンタリーを劇場で見る機会はほとんどなかったが、東海テレビなど地方局が番組の映画化に力を入れ、映画館側も一定の集客が見込めるドキュメンタリーに注目するようになった。阪神大震災、東日本大震災、原発事故など相次ぐ厄災が映像制作者を刺激し、多くの作品が生まれた。時代がドキュメンタリーを求めたのだ。

 特集上映は「表現者」「アジア」など毎年テーマが変わる。山崎さんは、今年のテーマ「戦争」について「安全保障の名のもとに憲法が拡大解釈されているが、本当にそれでいいのか?」と問い掛ける。

 オープニングは四時間半の大作「東京裁判」が飾る。是枝裕和監督が手掛けたフジテレビの「シリーズ憲法〜第9条・戦争放棄『忘却』」(二〇〇五年)は、現在の改憲の動きを見越したような作品だ。戦意高揚映画なのに厭戦(えんせん)的と見なされた「戦ふ兵隊」(一九三九年)、民間フェリーの“徴用”に斬り込んだ名古屋テレビ「防衛フェリー〜民間船と戦争〜」(二〇一八年)…。考える材料はそろっている。

 全作品に制作者、関係者のトークが付いているのも同フェスの特徴。「防衛フェリー」の上映に登壇するノンフィクション作家の吉岡忍さん(70)は「地方局のドキュメンタリーは、なかなか地元から出られないが、このフェスが新しい流れを作り出してきた」と評価する。

 上映作品の詳細は同フェスの公式サイトへ。「東京裁判」は当日二千円、それ以外は同千五百円。三回引換券は三千五百円(販売は五日まで)。電話予約は座・高円寺チケットボックス=03(3223)7300、月曜定休=へ。

◆座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル特集上映作品  タイトル(制作年、制作国または放送局)

東京裁判 (1983年、日本)

戦場のフォトグラファー ジェームズ・ナクトウェイの世界 (2001年、スイス)

Little Birds−イラク 戦火の家族たち (2005年、日本)

沖縄スパイ戦史 (2018年、日本)

なぜ隣人を殺したか〜ルワンダ虐殺と煽動ラジオ放送〜 (1998年、NHK)

戦ふ兵隊 (1939年、日本)

沖縄のハルモニ 証言・従軍慰安婦 (1979年、日本)

防衛フェリー〜民間船と戦争〜 (2018年、名古屋テレビ)

ベトナムから遠く離れて (1967年、フランス)

砲弾の炸裂するなかで〜ベイルート戦場の街〜 (1984年、TBSテレビ)

蟻の兵隊 (2005年、日本)

人間爆弾「桜花」−特攻を命じた兵士の遺言− (2014年、フランス)

ヒロシマ ナガサキ (2007年、アメリカ)

ミリキタニの猫 特別編 (2017年、アメリカ・日本)

未帰還兵を追って タイ編/マレー編 (1971年、日本)

シリーズ憲法〜第9条・戦争放棄「忘却」 (2005年、フジテレビ)

アルマジロ (2010年、デンマーク)

戦場で書く〜作家火野葦平の戦争〜 (2013年、NHK)

 

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