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【社会】

山口高2自殺 教職員の「いじめ」認定 雑用押し付けなど

 山口県周南市で二〇一六年、県立高二年の男子生徒が自殺した問題で「県いじめ調査検証委員会」(委員長・堂野佐俊(どうのさとし)山口学芸大教授)が同級生からのいじめがあったと認定し、教職員も雑用を押し付けるなどの「いじめに類する行為」をしていたと認めた報告書をまとめたことが五日、分かった。検証委は同日、村岡嗣政知事に報告書を手渡した。午後に概要を公表し説明する。

 一三年成立のいじめ防止対策推進法は生徒の行為のみをいじめと定義し、教職員は含まない。だが検証委は部活顧問ら教職員が関与した五つの事例について、男子生徒のストレス要因になったとしていじめに類する行為と判断した。遺族側代理人の石田達也弁護士は「異例の認定で学校の責任は重い」と話した。

 報告書によると、五つの事例は(1)全校生徒の前で名前を呼んだ(2)雑用を押し付けた(3)試験中に「ちゃんとやったんか」と話し掛けた(4)対応に困るようなことを言った(5)不必要に名前を連呼した。

 男子生徒がストレスを感じたと判断した理由として、全校生徒の前で名前を呼んだことに関し「ツイッターへの投稿やテストの問題用紙に、名前を呼ばれることは恥ずかしく嫌だったと主張している」と指摘。雑用の押し付けについては「嫌だと友人に伝えており、理不尽さや負担を感じていたと考えられる」とした。

 検証委は報告書で教職員の行為に他の生徒が同調し、次のいじめを生み出す端緒となる可能性があると強調。適切ないじめ対策と部活動運営、教職員による十分な配慮と対応があれば、自殺を防ぎ得た可能性があると結論付けた。

 山口県光市の県立高に在学していた男子生徒は一六年七月、周南市の駅で貨物列車にはねられ死亡。県教育委員会は一七年十一月、他の生徒からのいじめがあったと認めた第三者による調査部会の報告書を公表した。遺族側が再調査を求め、県常設の検証委が同級生や教職員などを聞き取りした。

 検証委は報告書で他の生徒からのいじめについて、調査部会が認めなかったものも含め十八事例を認定した。

◆教員のいじめも規定を

<教育評論家で法政大特任教授の尾木直樹さんの話> 教員の「いじめ」に踏み込んだ画期的な報告書で知る限り例はない。できるだけエピソードを取り上げストレスを検証したのは緻密で丁寧。一つ一つの事例は体罰より軽く見え、他人からは大したことではないと思えるかもしれないが、被害者の生徒にとっては深刻ないじめだ。指導する立場の教員がふざけたり、いじったりすることでいじめにつながっており、生徒との距離感が問われている。いじめ防止対策推進法にも、教員によるいじめの規定を盛り込むべきではないか。

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