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【社会】

<税を追う>基地騒音賠償 米の「踏み倒し」不条理

横田基地訴訟控訴審で賠償勝訴の垂れ幕を手にした弁護士らを取り囲む住民たち=1994年3月、東京高裁で

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 在日米軍機を巡る騒音訴訟で、米側が賠償金の応分の負担に応じず、日本政府の肩代わりに多額の税金が投入されている。確定判決分だけで、少なくとも百五十億円以上に上る計算だ。日米地位協定に詳しい法政大の明田川融(あけたがわとおる)教授(政治学)は「米軍による被害なのに、自分たちの税金で賠償するようなもの。住民は二重の負担を負わされて不条理だ」と指摘する。地位協定のあり方や政府の姿勢が問われている。 (原昌志)

 地位協定は一八条で、米軍の公務中に民間などへの被害が生じた場合、米国の責任割合に応じて賠償額の50〜75%を米側が負担すると規定している。

 賠償が確定した基地騒音訴訟では、自衛隊機が中心の小松(石川県)の例もあるが、ほとんどは米軍機の騒音。沖縄県の嘉手納(かでな)や普天間(ふてんま)をはじめ、厚木(神奈川県)や横田(東京都)も米軍機が主因だ。

 にもかかわらず、政府は税金で米側の賠償を肩代わりし、米側は負担拒否の理由を明確にしていない。日本政府は国会答弁などで「日米安保条約の目的達成のために活動しており、米側が賠償するべきものではない」という米側の主張を説明。明田川教授は「日本側も同じ考えのため、負担を強く要求できないのでは」とみる。

 「日米関係を損なわないために賠償金の負担はやむを得ないと、日本政府が考えているとみられても仕方がない。本来は住民を守るための安保条約なのに、条約を守ることが自己目的化している。本末転倒ではないか」と問題視する。

 その上で「日米安保体制は現在、多くの国民が支持しているが、賠償金を『踏み倒す』ようなことまで受け入れられるのか。そもそも米側の責任であっても、25%を日本が負担することの是非も考えるべきだ」と指摘する。

 日本弁護士連合会も二〇一四年に「まず米国が地位協定を守ることだ」とした上で、米側に責任がある場合は「全額米側が負担するべきだ」と協定の改定を提言している。

 地位協定を巡っては、米軍人らが所有する自動車の税減免や、基地返還時に米軍が原因の汚染などがあっても、原状回復義務がないことなどが長年、問題となっている。

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