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【社会】

<取材ファイル>希薄な関係、共生に壁 千葉・四街道、アフガンの3児死亡火災

全焼したアリレザさん一家の住宅。屋根が抜け落ちており火災の激しさを物語る=いずれも千葉県四街道市で

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 昨年の大みそか、千葉県四街道市でアフガニスタン国籍の中古車解体業グラーム・アバス・アリレザさん(42)夫妻と六人の子どもが暮らす住宅が全焼し、二〜六歳の下の子三人が犠牲になった。一家は市内に住んで約八年になるが、日本語がうまく話せず、近所との関係は希薄だった。遠い異国から移り住む外国人が増える中、地域でどう共生するのか、難しい課題も浮かんだ。 (山口登史)

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 「『ドーン』と大きな音がして外を見ると、炎と黒煙に包まれていた。外出先から戻ってきたご主人が家に入ろうとするのを止めることしかできなかった」。近所のパート従業員の五十代女性は当時を振り返る。

 住宅街の一角にある木造二階建て住宅は屋根が抜け落ち、ガレージには子ども用自転車が残され、そばにゴムボールが転がっていた。出火原因は電気ストーブが火元の失火とみられる。近所の人によると、両親は年が明けても、変わり果てた自宅前で座り込んで泣き続けていたという。

 知人のイラン国籍で輸出業のアマニ・アリさん(53)=千葉市=は「幼い子どもたちを背中に乗せて遊ぶのを何よりの楽しみにしていた。亡くなった子たちも『パパ、パパ』と本当によく懐いていた」と話す。

 一家は近所付き合いがほとんどなく、いつ母国から日本に移住したのかもよく分からない。残された家族は今、知人宅に身を寄せているという。

 四街道市によると、市内では二〇一一年ごろからアフガン国籍の住民が増え始め、昨年九月末時点で、一つの自治体では国内最多の五百八十三人が住民登録している。成田空港や千葉港などへのアクセスの良さや地価が安いことなどから、定住が進んでいるとみられる。

 アリレザさんのように、大半が中古車解体施設の経営に携わっているが、日本語が話せない人も多い。四街道署によると、アリレザさんも妻も日本語に不自由で、通訳を呼んで火災時の状況を捜査。年末年始も重なり、司法解剖で遺体が子ども三人と確認されるまでに十七日もかかった。

 日本語教室や交流事業などで外国人を支援する民間団体「四街道市国際交流協会」会長の米家(よねや)靖子さん(60)は「もっとアフガン国籍の住民に、積極的に防火啓発の活動をしていれば」と悔やむ。

 火災の際、アリレザさんは不在で、妻や子どもたちはどれほどの恐怖を感じていただろう。助けを求めようにも、言葉の壁があったかもしれない。防火対策の周知や周囲との関係づくりが不可欠だと感じた。

日本語で書かれた防火啓発パンフレットを確認する四街道市国際交流協会会長の米家靖子さん(右)

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