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【社会】

都情報公開審査会 意見陳述10年間ゼロ 口頭認めず文書審査

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 東京都に情報公開請求し非開示などとされた人からの不服申し立てについて審査する「都情報公開審査会」が、請求者側には口頭での意見陳述を認めず、文書だけで審査する運用をしていることが分かった。条例に陳述できるという規定があるものの、直近十年間の実施はゼロ。都側には陳述を認めており、弁護士や行政書士らでつくる公益社団法人「自由人権協会」は、不公平な運用だとして近く審査会に改善を申し入れる。 (梅野光春)

 審査会は弁護士ら有識者で構成され、都が非開示などを決めたことが妥当か、請求者と都の両方の意見を基に審査する。

 都の情報公開条例では、請求者から申し出があれば審査会は「口頭で意見を述べる機会を与えることができる」と規定。制度が始まった二〇〇一年度から〇八年度までは請求者の意見陳述は毎年実施され、計七十二件に上った。ところが、〇九年度以降は毎年度ゼロ件が続いている。

 都幹部によると、数年前、事務局(都)から、審査の迅速化のために意見陳述は原則として取りやめることを提案し、審査会が了承した。一八年度からは都側の陳述も原則としてやめると決めたという。

 だが、こうした運用は公表されていない。都によると、直近の三年間(一五〜一七年度)でも請求者から計十三件の申し出があったのに、審査会はいずれも認めなかった。一方で、都側の意見陳述は一八年度にも数回、行われたという。

 都情報公開課は「意見陳述は意見書で伝えきれない部分を補う機会だが、感情的に話し続ける人もいて審査が長引く原因にもなっていた。迅速化のため請求者に書き方を指導し、意見書を充実させてきた」と説明する。

 一七年度から審査会長を務める元検事総長の樋渡利秋氏は「条例上、公文書は開示が原則。非開示とした経過を知るため、都側に意見を聴くケースがある。請求者側の主張は意見書から十分読み取れるが、今後、審査会として聞いてみたいという状況があれば意見陳述を実施する」と話す。

 自由人権協会の武藤久資理事(58)は一六年に意見陳述を希望したが、認められなかった。「微妙なニュアンスやより強調したい部分など、文書では伝えられないことがある。しかも、意見陳述を希望する人は多くない。迅速化を理由に認めないのはおかしい」と批判する。

 全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は「開かれた都政を実現するという情報公開の目的に反する。審査が長引くなら一時間だけなどと限度を決めればいい」と指摘。「文章を書くのが苦手な人もいる。陳述の機会を奪うのは情報公開制度の形骸化につながる」と話している。

 

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