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【社会】

同性国際カップル「在留資格認めて」 日本人がパートナー 強制退去の台湾籍男性

20年以上連れ添う台湾籍の男性(左)と日本人パートナー=関東地方で

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 日本人男性と二十年以上連れ添ったのにパートナーと認められず、国外退去を命じられた関東在住の台湾籍男性が、国に処分の取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こしている。男女なら結婚すれば在留資格を得られるが、同性の結婚は認められていないため、判決によっては二人は離れ離れにされる。男性は「性的指向による差別だ」と訴える。 (奥野斐)

 「一日でも長く、パートナーと一緒にいたい」。昨年十二月、四十代の原告男性が証人尋問で思いを語ると、傍聴席からすすり泣きが漏れた。日本人と外国人の同性国際カップルら四十人余が見守っていた。

 弁護団などによると、男性は一九九二年に一年間の留学ビザで来日。ビザが切れると台湾に帰り、三カ月の短期滞在ビザで二回入国した。この間にパートナーと出会った。九四年から同居を始めたが、同年にビザが切れた。就労ビザを得られるような仕事には就けず、周囲にも相談できないまま不法滞在になった。

 「前回台湾を出た際、不法就労目的ではと疑われた。また帰れば、次は日本に戻れないかもしれないと怖かった。パートナーと離れたくなかった」と男性は振り返る。高校生の時に同性愛者であることに苦悩して自殺未遂を起こし、台湾に住む家族とは疎遠だ。

 九五年には男性のエイズウイルス(HIV)への感染が判明。高額な治療費をパートナーが工面し、治療を続けられた。一方、パートナーが抑うつ的になり働けなかった時は、男性が仕事をして支えた。法廷で、パートナーは男性のことを「生きていく上でなくてはならない存在」と語り、男性も「異性カップルに負けない絆がある」と訴えた。

 近所や病院では「兄弟」と偽り、息を潜めるように生きてきたが、二〇一三年、HIV感染者の支援団体を通じて弁護士とつながり、不法滞在でも特別な事情がある場合に認められる「在留特別許可」を知った。許可を得ようと地方入国管理局への出頭を準備していた時、警察に職務質問され不法滞在が発覚し、逮捕された。在留特別許可は認められず、一六年十一月に退去強制命令を受けた。

 男性は「性的指向による差別で、憲法が保障する法の下の平等に反する」として一七年三月に提訴。来月にも結審する見込みだ。

 弁護団長の永野靖弁護士(59)は「異性カップルなら仮に不法滞在になっても結婚して在留特別許可が出るケースが多い。同性カップルも同様に助け合って生きている現状を見てほしい」と話している。

◆母国で婚姻なら受け入れ

 日本は、先進七カ国(G7)で唯一、法律で同性カップルの結婚やパートナーシップを認めていない。

 就労などで来日する外国人については、カップルの二人とも出身国で法的な婚姻関係を認められている場合、パートナーの日本滞在を受け入れている。しかし、「家族滞在」などの在留資格ではなく「特定活動」での入国・在留という扱いだ。

 さらに、外国政府の外交官や大使館職員などは、法的な婚姻でなくてもパートナーだとする出身国の証明があれば滞在を認めている。

 国士舘大文学部の鈴木江理子教授(移民政策)は「外国人の同性パートナーに対する人道的配慮は評価できるが、『特定活動』で受け入れている点に、日本の保守的な家族観への強いこだわりがうかがえる」と指摘。「外国人への配慮はあるのに、同様の立場の日本人の権利を守らないのはおかしい」と話す。

 同性婚を巡っては、認められない現状は憲法違反だとして東京、名古屋など全国の同性カップル十三組が十四日、国に賠償を求め一斉提訴する予定だ。

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