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【社会】

勤労統計 調査変更の検討会 議事録、3年超作成せず

 毎月勤労統計の調査方法変更を巡り、厚生労働省が二〇一五年に開いた有識者検討会の議事録の半分が三年以上作られず、今年に入って作成作業が行われていたとみられることが、複数の検討会委員の証言で分かった。議事録は八日現在も、厚労省ホームページで一部しか公開されていない。調査方法変更に安倍政権の意向が反映されたのではないかと国会で野党の追及を受け、急きょ着手したとみられる。 (井上靖史)

 この検討会は一五年六〜九月、厚労省が大学教授やエコノミストら六人の委員を集めて六回開いた「毎月勤労統計の改善に関する検討会」。アベノミクスによる賃金の動向に注目が集まっているとして、調査対象とする事業所(従業員四百九十九〜三十人)サンプルの入れ替え方法などを議論した。

 前半三回分の議事録は、検討会の開催当時に公開されたが、後半の三回は現在も非公開。検討会座長を務めた中央大経済学部の阿部正浩教授らは「一月末に、厚労省から議事録の発言内容の確認を求められた。(メールに)『忘れていました』みたいなことが書かれていた」と本紙に証言した。

 この議事録について、八日に国会内であった野党合同ヒアリングで、厚労省幹部は「現在、修正中」と述べた。公文書を巡っては昨年、財務省で改ざんが発覚しており、議員らは「現在、改ざん中ではないか」などと追及した。

 厚労省幹部はこの日「(議事録の基となる)文書は一五年に作っていた」と話し、これまでの取材にも、公開が遅れているのは「多忙にまみれていたから」と説明。「修正」については「文言の確認を委員の先生方にしてもらっている。通常の作業」とした。

 勤労統計を巡っては、昨年一月から、調査サンプル企業を入れ替える際に、算出の基準を変更。賃金の伸び率が実際よりも過大になった原因の一つになっており、導入経過の透明性が求められている。

 厚労省は一六年、調査の変更を総務省の統計委員会に諮問して認められたが、その前年に行われた検討会の最終会合で示された「中間的整理案」を見る限り、検討会の委員らは変更に慎重だったようだ。

 検討会の最終会合直後の一五年十月にあった経済財政諮問会議で、麻生太郎財相はアベノミクスの成果を強調する一方、毎月勤労統計について「具体的な改善方策を早急に検討していただきたい」と求めた。厚労省はこの後に変更を決定しており、野党は「ツルの一声」で方向性が変わったと追及している。

 委員の一人は取材に、すぐに議事録を作らなかったことについて「検討会で議論した内容と省の方針が違うから、気まずさがあったのでは」と推察した。

<毎月勤労統計の調査方法変更> サンプル調査している従業員499〜30人の事業所について、2〜3年に一度、全て入れ替えていたものを、2018年1月から毎年一部を入れ替えるなどした。途中で廃業する企業は調査から漏れるため、調査を続けるうちに平均賃金は高くなる。入れ替えると新規企業などが混じるため下落しやすい。この段差を埋めるため、入れ替え月に新旧サンプル両方を調査し、データ補正していた。部分的に残した方が段差が縮まるが、廃業の実態を反映しにくく、強い企業の実態ばかりを映しかねないとの指摘もある。

2015年に開かれた有識者検討会の議事録を厚労省は一部しか公表していない=厚労省ホームページより

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