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【社会】

<象徴天皇と平成>(3) 心の病 共に向き合う

秋の園遊会に出席された皇太子ご夫妻=2018年11月9日、東京・元赤坂の赤坂御苑で

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 平成最後の園遊会が昨年十一月九日、東京・赤坂御苑で開かれていた。時折雨脚が強くなる中、ひときわ注目を集めたのは、皇太子妃雅子さまの姿だった。

 適応障害と診断され、二〇〇三年十二月から療養を続けられる雅子さま。園遊会には一五年秋に復帰したが、負担を考慮し、いつも冒頭の数分間で退出していた。昨秋は予定された約四百メートルをすべて歩き、招待客とにこやかに会話する姿が体調の良さを印象づけた。

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 宮内庁幹部は「両陛下最後の園遊会なので、皇太子妃としての務めを果たしたいと、万全な体調管理をされたようだ」と話す。

 心の病に苦しむ人は増えている。厚生労働省の三年に一回の「患者調査」では、一四年の患者数は三百九十二万人で、一九九九年に比べ約二倍となった。

 茨城県内に住む山雅順一さん(31)=仮名=は、妻(31)がうつ病の治療を続けている。六年ほど前、仕事のストレスなどが原因で発症した。最近は体調が良い日も増えたが、波はある。

 宮内庁は、雅子さまの公務の出席予定に「当日のご体調に支障がなければ」と留保条件を付けることが多い。体調に波があり、直前まで可否の判断が難しいという理由からだ。山雅さんは「妻は仕事をしたくても、それがストレスとなるのでは、との不安を抱えている。雅子さまが頑張りたくてもできないという気持ちは分かる」と理解を示す。

 皇后は天皇の公務に同席するほか、日赤名誉総裁や明治以降の歴代皇后が取り組んできた養蚕など独自の務めもあり、非常に多忙だ。代替わり後について、宮内庁幹部は「今の皇后さまと同じような公務は難しいだろう」とみる。

NPO法人「LightRing.」代表理事の石井綾華さん

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 皇太子さまは常に雅子さまを気遣ってきた。昨年九月、訪仏前の記者会見では、雅子さまが国際親善で果たす役割を「外国への訪問だけではなく、いろいろな形がある」と語った。側近は「妃殿下が重荷を感じないようにとの心配り」と推し量る。雅子さまもそれに応えるように、昨年十二月の誕生日に文書で公表した感想で、代替わり後は「研鑽(けんさん)を積みながら努めてまいりたい」とつづった。

 心の病の予防に取り組むNPO法人「Light Ring.」(東京)代表理事の石井綾華さん(29)は、そうした皇太子さまの姿に、支える側の理想を見いだす。「焦らず、ペースを守るように気遣い、周囲にも理解を促している」

 石井さんはかつて、家族がうつ病とアルコール依存症に苦しみ、自身も摂食障害を患った経験から、精神保健福祉士の資格を取得。九年前にNPO法人を立ち上げた。

 適切な治療と周囲の支えがあれば、必ず良くなるというのが、石井さんの信念。「病と向き合い回復していく姿は、闘病を続ける国民にとって何よりのメッセージ」。雅子さまには「克服されたら、ぜひ経験を語っていただきたい」と願う。

 

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