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【社会】

川崎市、議場発言 AIが「見える化」 傍聴席画面に即表示

発言内容をAIで変換し、文字で表示する傍聴席のモニター=12日、川崎市議会議場で

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 聴覚障害者や耳の不自由な高齢者が傍聴しやすいよう、川崎市議会は十二日、人工知能(AI)を使って議場での発言を瞬時に文字化し、傍聴席に設けたモニターに表示する取り組みを始めた。二〇二〇年の東京パラリンピック大会に向けて、障害者が暮らしやすいまちづくりを目指す市の方針の一環。AIはまだ誤変換があり、今後も「特訓」が続く。 (大平樹)

 市議会局によると、議場のマイクで集めた声をAIを使った委託業者の音声認識システムに送信し、文字データに変換。モニターに送って映し出す。「最幸(さいこう)のまち」など市独自の用語や議員の氏名などは、あらかじめシステムの変換候補に登録してある。

 AIを使ってモニターに映す取り組みは全国初という。

 モニターを十一万円で購入し、変換作業の委託費は年間四十二万円。傍聴席を三席撤去してモニターを設置した。同日開会した定例会の本会議から導入した。市長や各局長が議案の提案理由を読み上げると、四十インチのモニターに文字がその都度、表示された。

 この日の傍聴者はいなかったが、複数の市職員が見守る中、漢字の誤変換が複数回発生した。AIには学習機能があるため、市議会局の担当者は「こうしたミスは徐々に減ってくる」とみている。

 同様の取り組みは、国内では福井県議会が二〇一七年六月から、代表質問の際に議員らの発言を傍聴席のモニターに表示している。県議会事務局によると、文字化の手段はAIではなく、委託業者の担当者が音声を聞きながらパソコンを打って文字に起こしているという。

◆「リアルタイム良い」「議会に関心」

 約十年前、川崎市議会に多摩川の堤防保全について請願を出した同市高津区の無職山本武彦さん(79)は耳が不自由で、議場で傍聴したが、審議を聞き取れなかったという。「行っても分からないから、傍聴はもう無駄だと思っていた。議会への関心が向いたので、傍聴してみようと思う」と話した。六十歳ごろから加齢で聞き取りづらくなり、症状が進んだ今は補聴器が手放せない。「声質によっては、内容をほとんど聞き取れない人もいる。文字表示はありがたい」と喜んだ。

 聴覚障害があり、歌と手話の融合ユニット「アツキヨ」で活動する東京都足立区の中村清美さん(41)も「今まで発言をリアルタイムで分かる方法がなかったので、良いと思う」と歓迎。AIでの文字変換について「自分たちが意見を言う際も、手話通訳だと伝えたいこととズレが出ることもある。文字なら最大限伝えられる」と評価した。

 

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