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【社会】

精神科調査 非開示相次ぐ 患者の在院日数 隔離・拘束情報

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 厚生労働省が毎年六月ごろ、都道府県を通じて精神科の医療機関の実態を把握する目的で実施してきた調査「精神保健福祉資料(630調査)」について、都道府県に対して情報公開請求したところ、個人情報保護を理由に非開示とされるケースが続出している。市民団体「精神科医療の身体拘束を考える会」の調べで分かった。従来は開示され、患者が病院を選ぶ判断材料としてきただけに、関係者からは「患者の医療選択権に関わる事態」と疑問の声が上がっている。 (石井紀代美)

 同会は昨年十二月、各都道府県に一七年度の同調査結果を情報公開請求。従来は全面開示されていたが、北海道、埼玉、神奈川、大阪など十五自治体で非開示や一部開示が相次いだ。

 この調査は、毎年六月三十日付で調査を実施することから「630調査」と呼ばれる。各病院の医師や精神保健福祉士、閉鎖病棟の数のほか、個人が特定されない形で患者の在院日数、隔離や拘束の有無などが記されている。身体拘束や隔離措置の人数、長期の在院日数の患者の数などを見て、病院を選ぶ患者も多かったが、こうした情報は公開されなかった。

 同調査を巡っては、厚労省が毎年、各都道府県に協力依頼を送付。昨年七月の依頼文で「調査票の取扱い」の項目が加わり「個々の調査票の公表は予定しておらず、その集計結果のみを公表する予定」とした。

 その後同八月、毎日新聞が同調査などを基にしたとみられるデータから「精神疾患で五十年以上入院している人が少なくとも千七百七十三人に上る」と報道。これに対し、日本精神科病院協会の山崎学会長が同十月、「患者の個人情報が流出する懸念」があると問題視し、「調査への協力について再検討せざるを得ない」との声明文を発表していた。考える会では、こうした経緯が非開示決定の背景にあるとみている。

◆社会全体で考える問題

<精神医療に詳しい杏林大の長谷川利夫教授(保健学)の話> そもそも630調査は病院に関する情報であり、個人情報保護法で言う「個人が識別できる情報」は載っていない。病院側は、長期入院の実態を伏せておきたいのだろうが、むしろ社会全体で考えていくべき問題であり、隠しておく情報ではない。

 

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