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【社会】

統計見直し、官邸意向か 厚労省側「何とかしなきゃ」

衆院予算委で質問を聞く中江元哉元首相秘書官=15日午前、国会で(小平哲章撮影)

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 厚生労働省が毎月勤労統計の調査方法の変更を検討した経緯について、同省関係者が「国会でも賃金の話が出ており、何とかしなきゃいけないと思った」と共同通信の取材に証言した。二〇一五年、当時の中江元哉首相秘書官に賃金伸び率の低下を説明した厚労省幹部は「アベノミクスで賃金の動きが注目されている」として急きょ有識者検討会を設け、短期間で結論を出すよう要請。公正であるべき統計に経済政策を重視する官邸の意向が影響した可能性が出てきた。

 中江氏は現在、財務省関税局長。十五日の衆院予算委員会に元秘書官の立場で参考人招致され、「経済の実態をタイムリーに適切に表すため、改善の可能性を考えるべきではないかと問題意識を(厚労省に)伝えた。当然の反応をしたつもりだ」と、不当な圧力をかけていないと主張した。

 また「政府に都合のいいデータが出るよう不適切な方法を取らせる意図に基づくものでは全くない」とした上で、安倍晋三首相への報告時期は直後ではなく「九月の国会答弁の勉強会で説明した」と述べた。立憲民主党の本多平直氏は「秘書官からの指摘はどう喝、圧力だ」と指摘した。

 これまでの国会答弁などによると、厚労省の宮野甚一総括審議官と姉崎猛統計情報部長(いずれも当時)は一五年三月末、中江氏に直近の統計結果を報告。同一月分から調査対象事業所を入れ替えたことで、過去の結果と比較できなくなったため、厚労省は一二年一月からの三年分を、さかのぼって修正。これにより一二〜一四年の平均給与額の伸び率(対前年比)は、それまでの公表値より0・2〜0・4ポイント低下し、アベノミクスの成果をアピールできない結果となった。

 厚労省で統計を担当していた関係者は取材に「昨日までプラスと言っていたのが、(修正で)翌日から全部変わってしまい、官房長官も『変な統計だ』と言っていた。過去の数字を変えなくて済むやり方の方がいいと思った」と話した。

 厚労省は一五年六月、有識者検討会を発足させた。別の同省関係者は取材に、中江氏の意向を受ける形で設置し、急ピッチで会合を開くことになったとの見方を示した。検討会は一五年中に計六回開催したが立ち消えになり、議論は総務省統計委員会に引き継がれ、一八年一月分からは入れ替えに伴う過去分の修正をやめた。

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