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【社会】

学童が預かり拒否 民間業者「運営に口出すな」

学童に子どもたちが通えなくなった事情を、学童関係者らに相談する女性=神奈川県横須賀市で

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 共働き家庭の増加に伴い、小学生を放課後に預かる放課後児童クラブ(学童保育)の需要が高まっている。行政や社会福祉法人などだけではなく、民営の学童保育も増えているが、運営をめぐる混乱も。神奈川県横須賀市では、民間事業者が、特定の子どもの受け入れを拒否する異例の事態が続いている。 (今川綾音)

 児童の受け入れを拒否しているのは、横須賀市で二年前から民間事業者が運営する学童保育。学区に唯一の学童で、現在、十人ほどの児童が通っている。

 横須賀市には公営の学童がなく、児童数二十人未満の学童保育には年間約七百万円の補助金を給付している。この地域では、二〇〇五年から保護者たちが自ら指導員の確保や補助金の申請などをして、子どもたちの放課後の居場所を作っていた。だが、運営の負担も大きく、一七年九月に市から紹介された民間事業者に運営を移した。

 ひとり親の公務員女性(45)の娘二人が、預かりを拒まれたのは事業者が変わって半年後のことだ。

 きっかけは昨年二月末、保護者会の開催を呼び掛けたことだという。女性は「指導員はパート勤務になり、次々に入れ替わった。外遊びの時間も減り、他の保護者からも不安の声が出ていたので、一度、保護者が情報共有する場を設けたいと提案したんです」と振り返る。

 指導員を通じて他の家庭にお知らせを配った翌日、事業者から電話で罵倒された。「今はこっちが経営してるんだ。保護者は勝手な行動をするな」「何様だと思ってるんだ、このやろう。施設内で勝手に文書を配るのは運営妨害だ。二度と来るな」

 言葉を交わしたのはこれが初めてで、ショックを受けた女性は市や相談窓口の「かながわ福祉サービス運営適正化委員会」に訴えた。話し合いの場で、事業者は暴言について謝罪したが、女性の子どもたちについて「指導員の言うことを聞かない子はうちで見られない」と預かりを拒否した。

 事業者は市内で他に五学童を運営し、新年度も新たに一施設を開所する。本紙の取材に対し、「暴言については謝罪した。子どもたちに学童のルールを守らせ、保護者が口出しを慎むなら受け入れると適正化委員会に伝えた。私の運営方針にそぐわなければ、来なくていい」と話す。

 市こども育成部教育・保育支援課の佐藤洋志課長は、「事業主は設置や人員配置の基準を満たしている以上、問題はない。個人間の契約なのでお互いで解決してもらうほかない」とする。

 だが、児童福祉法に基づく学童保育が子どもを選別することに異論は多い。全国学童保育連絡協議会(事務局・東京都文京区)の佐藤愛子事務局次長は「行政の認識も不足している」と問題視する。「児童福祉法に基づいた事業として市に届け出をして運営しているからには、運営者や指導員の都合で受け入れを拒否することはあってはならない。学童保育は市が行う事業と位置付けられているので、市には保護者の相談に乗り、助言や調整をする責任がある」

<学童保育> 児童福祉法に基づく保育事業。長らく全国一律の基準がなかったが、2015年に始まった新しい子育て支援制度で指導員の配置や資格の基準が設けられ、市町村事業と位置付けられた。かつては保護者会や自治体運営が主流だったが、需要が増えた近年は、社会福祉法人やNPO法人のほか、民間企業など運営主体も多様化。一方、児童福祉が専門ではない事業者も参入し、行政のチェックが追いつかない問題も浮上している。

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