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【社会】

加古さん、孫思う詩 死去10日前編集者が提案、初刊行

加古里子さん

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 昨年五月に九十二歳で他界した、絵本作家で児童文学研究家の加古里子(さとし)(本名中島哲(さとし))さんが孫の成長を見守りながら書きためた詩をまとめた「ありちゃん あいうえお」(講談社、税抜き千三百円)が五日、発刊された。「だるまちゃん」シリーズをはじめ数々の人気作品を手掛けた加古さん初の詩集。孫を通じ、世の中の子どもたちや動物に向けた、温かく優しいまなざしが感じられる作品に仕上がっている。 (吉岡潤)

 副題は「かこさとしの71音」。二部構成で、前半は言葉遊びが続く。「あひるちゃん あるく」で始まり、「ごりらくん ごねる」「わにちゃん わらう」など、「あいうえお」の五十音に「がぎぐげご」「ぱぴぷぺぽ」などを加えた七十一音を使った一行詩が連なる。幼い子どもが言葉を楽しく覚えられるように考えられている。

 「まごまごのうた」と題した第二部は、次女の亀津絵里さん(58)の長男で「たっくん」こと翼(たすく)さん(26)と、次男で「ひろちゃん」こと鴻(ひろき)さん(25)を描いた詩が並ぶ。

 「孫がかわいくて仕方がない『じじばか』そのもの」と加古さんの長女鈴木万里さん(61)。孫に接して「マゴマゴ」しつつ、あふれる愛情がにじんでおり、鈴木さんは「誰もが自分の子や孫に置き換えて楽しんでもらえればいい」と話す。

 加古さんは漢詩、俳句、短歌、劇の脚本などを幅広く手掛け、「二十四時間、三百六十五日、言葉探しをしていた」と鈴木さん。昨年四月、亡くなる十日前に編集者の五十嵐千恵子さん(58)が詩集の制作を加古さんに提案し、「本人はとてもうれしそうだった」(鈴木さん)という。書斎にあった未発表の言葉遊びの本と、孫を詠んだ詩を五十嵐さんが選んで組み合わせ、作品が誕生した。

 五十嵐さんは「加古さんが生きとし生けるものすべてを愛していたのがよく分かる」と語る。鴻さんは「詩集があるのを知らなかった。形になってうれしくもあり、恥ずかしくもある」と笑った。

加古さんの初の詩集(中央)と、基になった遺稿を持つ長女の鈴木万里さん(右)と孫の亀津鴻さん=神奈川県藤沢市で

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