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【社会】

聴覚障害者カンゲキ 都内NPO 舞台を手話通訳 国内初の養成講座

舞台手話通訳の養成講座で、講師の女性(左)から学ぶ受講生たち=昨年9月、横浜市で(シアター・アクセシビリティ・ネットワーク提供)

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 聴覚障害者が演劇を楽しめるように、舞台専門の手話通訳の養成を、東京のNPO法人「シアター・アクセシビリティ・ネットワーク」が始めた。舞台手話通訳は単純にせりふを通訳するのではなく、せりふの強弱や声色、役者の動きや感情も表現する技術が求められる。理事長の広川麻子さん(46)は「障害者が舞台芸術を楽しむ機会を増やす取り組みを広げたい」と意気込む。 (五十住和樹)

 昨年八〜十月、国内初の養成講座が横浜、札幌、大阪で開かれ、手話ができる計十八人が参加した。舞台手話通訳の専門家で劇作家・演出家の米内山(よないやま)陽子さんや、聴覚障害者の俳優らを講師に、演出家の意図を読み取って通訳する技術などを学んだ。舞台の手話通訳の実践もして、成果を確かめた。講座は聴覚、視覚障害者らへの観劇支援をしている同ネットワークが、日本財団の助成で始めた。

 舞台手話通訳の研究をしている筑波技術大学障害者高等教育研究支援センターの萩原彩子助手(40)は「舞台の通訳には、感情表現をうまく伝える演劇的な素養が必要。衣装も芝居の雰囲気に合わせ、立ち位置や体の動き、視線にも気を使う。劇団側にとって観劇支援は客層の開拓にもつながる」と話している。

 欧米では障害者の観客の求めに応じて手話通訳や字幕、音声ガイドなどの支援が受けられることが多く、俳優出身の舞台手話通訳者もいて、聴覚、視覚障害者が演劇を楽しめるという。

 日本では字幕や音声ガイドなどが一部の劇団や公演で始まったばかり。昨年六月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が施行され、鑑賞支援への関心が高まってきた。

 手話通訳には、厚生労働省の資格試験による手話通訳士と、都道府県認定の手話通訳者がある。いずれも聴覚障害者の生活支援など福祉的要素が強く、大学の講義や演劇の鑑賞サポートなど、専門的な領域に対応できる人は少ない。聴覚障害者や通訳の間では、法律や医療、舞台芸術などに対応できるよう、通訳の資格や養成制度の見直しを求める声がある。厚労省も、どんなニーズがあるのか調査を始めた。

 「シアター・アクセシビリティ・ネットワーク」は十七日正午から、東京都豊島区東池袋四のあうるすぽっと(同区舞台芸術交流センター)でシンポジウム「舞台手話通訳を育てていくために」を開く。無料。申し込みはファクス=020(4664)1221=で氏名や所属、連絡先を送る。

 

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