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【社会】

<原発のない国へ すぐそばの未来>(2)都市と地方 進む連携 再生エネ調達 林業守る

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 群馬県北部の川場村は、都心から車で二時間強の山あいにあり、冬はスキー客でにぎわう。しかし、かつて主力産業だった林業は輸入材に押されて衰退し、山の手入れがままならない。

 村は林業再生を狙い、間伐材や放置された「未利用材」をチップにして燃料に使う木質バイオマス発電所を計画した。「この電力を供給できないか」。外山(とやま)京太郎村長は二〇一五年十一月、百六十キロ離れた東京都世田谷区の保坂展人(のぶと)区長に打診した。

 人口三千三百人の村と、九十万人超の区は三十年以上交流している。一九八一年に「健康村協定」を結び、一時は合併話まで浮上した。村内の区民向け保養施設で、小学生のキャンプや区職員の研修をしてきた。

 世田谷区は、区民が利用する電力の25%以上を再生可能エネルギーとすることを目標に掲げており、保坂区長は提案を快諾。三カ月後には発電事業の協定を結び、一七年五月から区内四十世帯への電力供給が始まった。トップ同士の話し合いから一年半で実現した。

 村がつくった電力は固定価格買い取り(FIT)制度で、区内に本社がある「みんな電力」が買い取る。その電力を、契約した区民が一キロワット時当たり二十五円弱で買う。契約者の伊東宏さん(72)は「自宅でも太陽光発電をしているが、昼間だけ。夜も再生エネで賄いたいと考えていた。願いがかないました」と喜ぶ。

 村の発電所を訪ねると、その小ささに驚く。鉄道用コンテナ二個分のスペースに、ほぼ全ての設備がすっぽり収まる。村の相馬夏美主任によると、約一億五千万円の建設費は、小さな村にとっては重い。大きな出力だと、東京電力の送電網に負担をかけるとして接続を拒否される懸念もあり、出力を四十五キロワットと無理のない規模にしたという。

 燃料の木材は山で切り出し、村内の製材・チップ工場で刻まれ、トラックで発電所併設の乾燥施設に搬入。発電機を冷やして熱くなった水は、チップの乾燥とイチゴのハウス栽培の暖房に活用し、循環させて再び発電機の冷却に使う。

 木を切り出す森林組合には一トン当たり四千五百円が入り、一部は山の所有者に回る。チップは県内や新潟県の発電所にも販売し、新たな収入源になっている。

 だが、固定価格での買い取りは三七年に終わる。発電所を存続できるのか。相馬主任は「それまでに建設費の回収が終わる。維持費やチップ代は必要だが、安価な電源として貢献し続けられるのでは」と話す。

 世田谷区は再生エネの調達先を広げている。長野県の二つの小規模水力発電所(出力計一千百六十キロワット)から四十五の区立保育園や児童館に、青森県弘前市の太陽光発電所(同一千五百キロワット)からは区内六十世帯に、それぞれ電力を供給する仕組みを整えた。地熱発電が盛んな岩手県八幡平(はちまんたい)市や新潟県十日町市とも、連携への協議が進む。

 横浜市も二月、青森、岩手、福島三県の十二市町村と、再生エネの電力を供給する協定を結んだ。電気を大量に使う大都市と、再生エネで電気をつくる地方。両者のタッグは今後も増えそうだ。 (山川剛史)

 

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