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【社会】

災害時「困った」指さし伝える 聴覚障害男性、ボード開発

「おもてなしボード」を手にする中園秀喜さん=東京都新宿区で

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 元NPO法人理事長で聴覚障害者の中園秀喜さん(71)=東京都中野区=が東日本大震災の避難所での視察などに基づき、耳が聞こえにくい人と聞こえる人とのコミュニケーションを手助けする「おもてなしボード」を作った。日常生活や緊急時に必要な複数の想定問答が用意され、指をさして互いの思いを伝える。中園さんは「言語障害など『見えない障害』は他にもある。意思疎通で困っている人に役立ててほしい」とボードの普及を目指している。 (中村真暁)

 ボードはB5サイズで、日常会話から緊急時の対応、駅や役所など利用場面に応じたものなど計四十三種類を作成。質問項目ごとに数種類の答えをイラスト付きで掲載した。普段は店舗や施設、災害時には避難所などで活用してもらう。

 「手話・要約筆記ができる人を呼びましょうか」「書いてください」などのやりとりは日常生活でも緊急時でも欠かせない。日常生活の利用場面別では、例えばホテル用は「用件は?」の質問に対し、選択肢は「宿泊」「宴会」「結婚式」「その他」の四つ。空港用では、同じ質問でも、答えは「予約」「購入」「見学」「その他」になる。

 中園さんがボードの開発に当たって重視したのが、当事者の目線だ。「大声で話されても聞こえません」「マスクをとってください。読話(口の動きで、話す内容を読み取ること)ができません」のように、聴覚障害者が伝えたい要望を数多く盛り込んだ。

 中園さんは、聴覚障害者の情報バリアフリーに取り組むNPO法人「ベターコミュニケーション研究会」の理事長として長年、都などに助言してきた。NPOは昨年春にメンバーの多忙などで解散したが、中園さんは個人的に活動を続けている。

 中園さんは東日本大震災の直後、聴覚障害者が置かれた状況を調べようと、宮城県内の避難所を個人で訪れた。停電や回線混雑でファクスが使えずに家族と連絡が取れなかったり、字幕付きテレビや手話通訳者、要約筆記者が存在せずに情報過疎になったり…。障害が外見から分からないためか、困難さを理解されずに孤立する聴覚障害者を目の当たりにした中園さんは「特に災害初期の避難所では、聴覚障害者などへの配慮がほとんど期待できない。手話が分からなくても、会話ができ、身を守れるようにしたい」とボードの開発を思い立った。

 ボードの予定価格は、施設用(三十項目)が千五百円、交通機関用(十五項目)が千二百円。筆記用のホワイトボードも付いている。中園さんはデザインなどをさらに磨きたいと考えており、企業などに「モニターとして協力してほしい」と呼び掛けている。モニター協力でも基本的にボードを購入してもらう。問い合わせは、中園さん=nakazono@bcs33.com=へ。

 

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