東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

築地の扇形、残して再生を 進む解体、専門家が再考要望

解体が進む旧築地市場。扇形の建物が水産物部仲卸業者売場=14日、東京都中央区で、本社ヘリ「おおづる」から

写真

 旧築地市場(東京都中央区)の主要な建物は文化的な価値が高く、鉄骨を残して再生させるべきだ−。そんな提案が、専門家から出ている。市場跡地は二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの車両基地として使われる予定で、建物の解体工事が急ピッチで進んでおり、「最後のチャンス」と訴えている。 (石原真樹)

 提案者は、東京電機大の今川憲英名誉教授(構造設計)と神戸芸術工科大の入江経一教授(設計)。十三日に都庁で記者会見し、「これほど大規模な取引額と物の種類は世界の市場にはなく、ユニークな計画だった。どう活用するか議論すべきだ」と強調した。

 特に注目しているのが、一九三五年の開場当時からある「水産物部仲卸業者売場」などの建物。当時は船や貨物列車で水産物などを運び込むため、岸壁の近くに線路に沿って扇形に建てられた。トラックでの運び出しにも対応し、合理性や機能性を重視した近代建築として価値が高いとみる。

 今川さんは「貨物列車を引き込んだ歴史を伝える、扇形の曲線部分は残したい」と説明。入江さんも「壊して新しいものを造るのではなく、文化的遺産として今の時代に適応させるべきだ」と話す。

 二人が成功例として挙げるのが、今川さんが手掛けた横浜市の赤レンガ倉庫だ。明治末期から大正初期に造られ、八九年に役目を終えたが、九二年に横浜市が国から取得。当時の雰囲気を残しつつ鉄骨を補強し、内部はテナントが入れるよう通路を整備するなど改修した。現在は年間を通して観光客が来場する人気スポットになっている。

 一方、都は今年中に築地の建物を全て解体し、東京大会では選手らを輸送するバスなどの車両基地として使う方針。大会後は国際会議場などとして使う再開発の素案を公表している。

 仲卸業者売場の建物は現在、屋根が半分ほど取り外されたが、鉄骨は手付かずで残っている。都幹部は十二日の予算特別委員会で、「貴重な資料を後世に引き継ぐ」として、扉や鉄骨を取り外して一部保存する方針を明かした。

 入江さんらは、仲卸業者売場などを残しても、残りの土地を車両基地にすれば足りるとの考え。「海があり浜離宮があり、銀座に面したあの場所に建物が残ることが大事。取り外した鉄骨の一部を残したとしても、文化の継承にはならない」と都に再考を求めている。

2017年8月に撮影した水産物部仲卸業者売場。現在は屋根の取り外し作業が進んでいる

写真
写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報