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【社会】

つないだ163キロ おいでよ東北 「リアス線開通」岩手 震災不通8年ぶり解消

大漁旗を手にした人たちに迎えられ、鵜住居駅に到着した三陸鉄道リアス線の記念列車=23日午前、岩手県釜石市で

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 岩手県の第三セクター三陸鉄道の「リアス線」出発式が23日、開通した。2011年3月の東日本大震災の津波で不通となったJR山田線宮古−釜石間が移管され、久慈(久慈市)−盛(さかり)(大船渡市)の163キロを結ぶ。

 三セクの鉄道では日本最長となり、岩手県での震災による不通区間は八年ぶりに解消となる。

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 釜石駅(釜石市)で出発式が行われ、一日駅長を務める子ども二人と駅長が右手を挙げ「出発進行」と合図。公募で選ばれた一般乗客らを乗せた記念列車が宮古に向け走り始めた。見守った人たちから拍手や歓声が上がった。中村一郎社長は「被災地の皆さまにとっても大きな希望になるよう頑張りたい」と話した。

 釜石駅前で高校一年高橋萌さん(16)は「バス通学の友人も多く、便利になると話していた。早く乗ってみたい」。鵜住居(うのすまい)駅前(釜石市)前には津波伝承施設がオープンした。

 岩手県では大船渡線の一部区間をバス高速輸送システム(BRT)で復旧。岩手、宮城、福島の三県で不通のままなのは、原発事故の影響を受けた福島県内のJR常磐線浪江−富岡間のみとなる。二〇二〇年三月末までの再開を目指している。

◆震災機に三鉄入社 運転士決意「地元盛り上げたい」

運転士を務める伊藤貴思さん=2月、岩手県大船渡市の盛駅で

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 新人運転士、伊藤貴思(たかし)さん(27)は東日本大震災を機に故郷の岩手県大船渡市へ戻り、三陸鉄道に入社した。昨年十月に運転士として独立し、南リアス線の運転を担当してきた。リアス線開通後も「運転士としてベストを尽くしたい」と意気込む。

 千葉県内の大学卒業後は首都圏で鉄道会社に就職するつもりが、震災が進路に大きく影響した。二〇一一年三月十一日。友達と出掛けた埼玉県で足元がぐらりと揺れた。テレビに映った波にのまれる海沿いの町。岩手県沿岸部だとすぐに分かった。「実家も被害に遭っているかもしれない」

 夜遅く、母親とようやく電話で話せた。「車で逃げてみんな無事だよ」と聞いた瞬間、安心して体の力が抜けた。海のすぐそばの実家は全壊していた。

 壊滅状態の故郷が頭から離れず一六年に退学。地元に戻り将来を考えていた時、三鉄幹部から「三鉄はどうだ」と声を掛けられた。「鉄道に関われるし、地元にも貢献できる」。入社を決めた。

 昨年十月に独り立ち。毎日利用する乗客とは顔なじみだ。久慈まで一本の鉄路でつながり、今まで利用機会がなかった人たちも利用することになる。「期待してくれている人の声を聞くとうれしいし、自分も楽しみ。みんなで盛り上げていきたい」

 

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