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【社会】

62歳現役 知の探究「何かが分かることが楽しい」 京大卒業式で学部代表

京都大の山極寿一学長(奥)から学位記を受け取る62歳の男性=26日午前、京都市で

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 京都大の卒業式が26日開かれ、経済学部の代表に選ばれた62歳の男性=京都市左京区=が登壇し、学位記を受け取った。会社員生活の傍ら受験勉強に励み、念願の京大に58歳で合格。「この年になっても、何かが分かるということが楽しい」。旺盛な知識欲が原動力だ。

 「また大学生活が送れたら楽しいだろうな」。心が揺らいだのは、次男が進学した北海道大に見学に行ったときだった。キャンパスの雰囲気や生き生きした学生に接し、刺激を受けた。

 他の国立大を卒業し、千葉県内の銀行に三十年以上勤めた。受験を決めてからは勤務後や休日に一日三〜四時間の勉強を三年間続け、二〇一五年に京大に合格。まもなく退職した。

 当初、周りと距離も感じたが、授業で席が近い学生らと徐々に打ち解けた。進路の悩みなど、社会人経験のある自分を頼って相談してくれる友人もできた。

 男性は一度目の大学生活を「何かに打ち込むでもなく中途半端だった」と振り返る。専門は日本経済史だが、今回は興味の赴くままに授業を取りひたすら学んだ。感じたのは京大という恵まれた環境のありがたさ。「疑問をぶつければ、先生が何でも答えてくれた。学ぶ意欲がある学生に応えてくれる場所だった」

 四年間の学業が評価され、卒業式の学部代表という大役に抜てきされた。「銀行員の実体験が授業では生きたし、若い人より人生経験もある」と遠慮気味に話す。

 大学で学んだことをすぐ何かに役立てたいわけではない。「ただ知りたいだけ。納得できるとうれしい」と胸の内を明かす。「年齢を重ねて学び直せば、新しい発見もある。大学に限らず学びの場はたくさんあるし、年齢は関係ない」と同年代にエールも。

 「家族のおかげで好き勝手やらせてもらえた」と感謝を忘れず四月からは京大の大学院生として、まだまだ知識を追い求めていく。

 

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