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【社会】

辺野古 軟弱地盤 深さ90メートル 強度基準下回る

 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡る軟弱地盤問題で、海面から九十メートル地点の地盤強度が「非常に固い」とする基準値を大きく下回っていたことが、防衛省の調査結果から分かった。防衛省はこの調査は「信頼度が小さい」として評価に入れず、別の地点での調査結果から類推し「海面下七十メートルまで地盤改良すれば、安定的な施工が可能」と結論づけていた。埋め立て推進に不利になる調査結果を意図的に過小評価した疑いが出てきた。 (中沢誠)

 海面から七十メートルより深い層について、防衛省はこれまで、複数の箇所で行ったボーリング調査で採取した海底の土を室内試験で分析し、「非常に固い粘土層と確認された」と説明していた。よって、深度九十メートルまで軟弱地盤が及ぶ「B27地点」も、「非常に固い」と評価していた。

 しかし、防衛省が国会に提出した地盤に関する報告書などによると、防衛省が根拠としたボーリング調査は、B27地点からそれぞれ数百メートル離れた三地点で行われ、深さも六十八〜八十四メートルで九十メートルには届いていなかった。場所や深さが違うにもかかわらず、防衛省は「B27地点と土の層が同じ」として室内試験の結果を採用していた。

 報告書によると、B27地点ではボーリング調査ではなく、センサーが付いた棒を刺して地盤の特性を調べる「コーン貫入試験」を実施していた。その結果を元に地盤の強度を示すN値も算出されており、海面下七十〜九十メートルは四〜九程度だった。

 N値は〇〜四が「軟らかい」、五〜一四が「中位〜固い」、一五以上が「非常に固い」に分類される。「構造物の基礎地盤としては二〇以上が望ましい」とされ、防衛省の説明とは裏腹に基準値を大きく下回っていた。

 コーン貫入試験のN値を採用しなかった理由について、防衛省の担当者は取材に「粘土層で測ったN値は信頼度が小さいので、より精度の高い室内試験の数値を評価した」と説明した。

 防衛省はB27地点を含む軟弱地盤について、最深で海面下七十メートルまで砂の杭を七万六千本打ち込む地盤改良工事により、安定的な基地建設は可能と結論付けた。だが、世界でも海面下九十メートルまで地盤改良した実績はなく、現有する作業船の能力では、最大七十メートル程度までしか杭打ちはできないという。

◆別地点 理解に苦しむ

<鎌尾彰司・日本大准教授(地盤工学)の話> コーン貫入試験は粘土層など軟弱な地盤の強度を調べるため使う一般的な調査手法。この試験から換算したN値などを設計に生かす例は多い。九十メートル地点のデータを使わず、別の地点のデータを引用するのは理解に苦しむ。

 

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