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【社会】

ばねと爆薬がカギ はやぶさ2、あすクレーターづくり

衝突装置と同型のばねを持つ阿部和弘さん。実物は一回り小さい=横浜市の日本飛行機横浜工場で

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 探査機「はやぶさ2」が五日、小惑星りゅうぐうに金属弾を撃ち込み人工クレーターづくりに挑む。表面を吹き飛ばして穴を開け、風化の進んでいない地下の岩石を取る世界初の実験だ。四十六億年前に太陽系が誕生したころの痕跡が残ると期待される。成否の鍵は一本のばねと爆薬だという。

 金属弾を撃ち出すのは衝突装置と呼ばれる直径三十センチの円筒。機体下部に突き出ている。装置は、りゅうぐう上空約五百メートルで機体から切り離され、四十分後に自動的に爆発して金属弾をりゅうぐうに発射する。

 だが、衝突装置には姿勢を修正する仕組みがない。分離のとき姿勢が乱れると弾の向きがずれてうまく当たらない恐れも。正確にりゅうぐうに向けて切り離す必要がある。分離のとき本体から装置を押し出すのが一本のばねだ。

 ばねはアルミとガラス繊維製で直径二十七センチ、長さ十一センチ。日本飛行機横浜工場が開発した。このばねが、ねじって縮められ、衝突装置と機体の間にはさまれている。分離時に、ねじれたばねが回転しながら伸びて衝突装置を秒速二十センチで押し出す。装置もゆっくり回転して姿勢が安定する。

 性能を調べるため、衝突装置と同じ重さ十四キロの重りをゴムひもでぶらさげて無重力に似た状態をつくり、ばねで押す試験を重ねた。開発チームの阿部和弘さん(60)は「心配していないが、期待通りの性能を出してほしい」と願う。

 一方、爆薬部分を開発したのは福島県西郷村の日本工機白河製造所。開発を始めてすぐ東日本大震災が起きた。数カ月間は実験が十分できず、計算に力を入れて「浅くて広めのクレーター」をつくる爆薬部の原型を設計した。

 爆薬部は側面がステンレスで底面は銅。爆薬約五キロが詰めてある。爆発の勢いで重さ二キロの銅の底板が秒速二キロで飛び出し、半球状に変形しながらりゅうぐうに激突する。同社の松崎伸一チーフ(48)は「楽しみとドキドキの両方。日本の技術力を世界に示したい」と意気込む。

 成功すれば、はやぶさ2は五月下旬以降にクレーターに着陸し、世界で初めて地下の岩石採取に挑戦する。 (増井のぞみ)

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