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【社会】

<税を追う>外反母趾の治療装具 市販品を特注と偽る 1億円超、不正受給

松本義肢製作所がオーダーメードと偽って患者に販売した市販靴の加工品=名古屋市内で

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 足の外反母趾(がいはんぼし)などの治療に使う靴型装具を巡り、装具メーカー大手の「松本義肢製作所」(愛知県小牧市)が市販の加工品をオーダーメードと偽るなどして、健康保険組合や一部税金で賄っている国民健康保険から約千六百件、計一億一千七百万円を不正に受給していたことが同社への取材で分かった。治療用装具の不正受給額としては過去最悪。保険適用は医師の確認が前提のため、不正請求を想定したチェック体制が整っておらず、同様の不正は全国で相次いでいる。 (中沢誠、藤川大樹)

 治療用装具は医師の処方に基づき、業者が患者の症状や体形に合わせてオーダーメードで作製する。患者はいったん代金全額を業者に支払い、その後、加入する健保に申請すれば、一〜三割の自己負担分を除いた費用が払い戻される。申請には、医師の証明書や業者の領収書が必要となる。

 松本義肢によると、同社は市販のスニーカーを加工した靴をオーダーメードと偽り、治療用の靴型装具として患者に二足まとめて約十万円で販売。患者はおおむね年に一足しか保険請求できないことから、一足分と記した虚偽の領収書を渡していたという。

 判明した不正受給は二〇〇七〜一四年の八年間で千六百四十二件。このうち患者が保険請求した先の健保組合まで特定できたのは、昨年十一月時点で約七割の千百三十六件、約六千三百万円あり、同社はこのほぼ全額を返金した。

 本来なら払い戻しを受けた患者に返金義務が生じるが、患者の多くは不正と聞かされぬまま保険請求していた。このため健保組合側は、松本義肢が患者に不正請求させ、利益を得たとして同社に返金を要求した。

 靴型装具の作製は医師が指示し、完成品を確認することになっている。健保組合側は、医師は現物を確認したものの不正を見抜けなかったとして、連帯で返金を求めなかった。

 被害は、東京都や愛知県を中心に全国の百四十五組合に及び、大手企業の社員が加入する健保組合や、国民健康保険も含まれていた。

 松本義肢の松本芳樹社長は取材に、会社ぐるみの不正だったことを認め、「保険が通ったので問題ないと思ってしまった。認識が甘かった」と釈明した。

 保険適用できる治療用装具は、外反母趾を矯正する靴や、骨折や腰痛用のコルセットなど、病気やけがの治療のため、医師が必要と認めたものに限られる。厚生労働省は不正請求の防止策として、昨年四月から保険請求の際に現物の写真の添付を義務付けている。

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