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【社会】

「会社私物化の本丸」ゴーン前会長4度目逮捕 特捜部「人質司法」批判の中

カルロス・ゴーン容疑者の居住先のマンションで同容疑者とみられる人物を隠す東京地検の係官=4日午前6時44分、東京都内で

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 一カ月前の保釈から一転、再び身柄を拘束された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)。東京地検特捜部は保釈後も、今回のオマーンルートを「会社の私物化をあぶり出す本丸」と位置づけ、水面下で捜査を進めてきた。急転直下の四回目の逮捕に、「暴挙だ」と激しく反発する弁護側。初公判の見通しは全く立たない状況に戻った。 (小野沢健太、山田雄之、蜘手美鶴)

 四日午前六時五十分、ゴーン容疑者が保釈中の住居としている東京都内のマンションの駐車場前。ゴーン容疑者が乗ったとみられる東京地検特捜部の車両が現れると、多くの報道陣が取り囲んだ。

 「下がって!」「公務の邪魔をするな!」。報道陣を制止する係官らの怒号が飛ぶ。車の後部座席はカーテンで覆われ、ゴーン容疑者の表情は確認できない。特捜部はその約四十分後、四回目の逮捕を発表した。

 「長期間にわたって会社を私物化していたことを示すには、この事件が必要なんだ」。ある検察幹部は今春、「オマーンルート」事件について特捜部からこんな説得を受けた。

 特捜部が一月に起訴した特別背任事件は、二〇〇八〜一二年のもの。ゴーン容疑者が自身の窮地を救ってくれた知人に、日産の資金で謝礼を支払ったなどとする内容だった。

 十年ほども前に本人以外に提供された資金−。ある幹部は「この事件だけで『ゴーン容疑者は会社を私物化し続けてきた』と言っても、世間は納得しなかっただろう」と言う。

 今回の「オマーンルート」事件は、ごく近年の一五〜一八年が舞台。しかも日産の資金を友人を介して還流させ、自身の懐に忍ばせていたとする容疑だ。

 別の幹部は「会社の資金を意のままに操った上、露骨に自身の利益を得ている。悪質性がより鮮明だ」と意義を強調する。

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 特捜部は今回の疑惑を昨年末には把握していたが、日産の資金は中東諸国を回遊しており、完全に流れを追うことは困難だった。立証に十分な証拠がそろわないまま三月、ゴーン容疑者は保釈された。

 ある幹部は「保釈前に再逮捕したかったが、あの時点では証拠が足りなかった。まだ時間が必要だった」と振り返る。

 内部に諦めムードも漂う中、特捜部は日産関係者らの事情聴取を重ね、日産の協力を得て中東関係者との接触にも成功。舞台が外国であるため上級庁には立件に慎重な声もあったが、検察当局はオマーンの友人側の業務実態と支払い名目に大きな隔たりがあったことは立証できるとして、立件する方向に舵(かじ)を切った。

 在宅のままの追起訴か身柄を拘束する再逮捕か。ゴーン容疑者を巡っては、海外メディアを中心に、否認をすれば長期勾留につながるという「人質司法」の問題が批判されてきた。

 「保釈中にまた身柄を拘束すれば、厳しい批判にさらされる」という慎重論はあったが、「在宅捜査では事件関係者と連絡を取って口裏合わせをするなど、証拠隠滅に動かれるかもしれない」という声が強く、異例の保釈中の再逮捕につながった。

 ある検察幹部は「これで公判で有罪判決を取れなければ批判は増すばかりだろう。やるからには絶対に負けられない」と険しい表情で話した。

 

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