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【社会】

緊急避妊 初の国産後発薬 望まぬ妊娠 救う一歩

「正しい性知識や対等な関係性を学ぶ機会の充実も必要」と話す染矢明日香さん=東京都台東区で

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 性暴力や避妊失敗で望まない妊娠を防ぐために服用する緊急避妊薬の国産ジェネリック医薬品(後発薬)が初めて発売された。避妊などの啓発に取り組むNPO法人「ピルコン」(東京)理事長の染矢明日香さん(33)は「価格の安い後発薬の発売は大きな一歩」と評価する一方、価格と入手方法の両面で課題は多く、必要とする女性全てに行き渡るような環境の整備を求めている。 (小形佳奈)

 この薬は富士製薬工業(千代田区)が三月十九日に発売した「レボノルゲストレル錠1・5mg『F』」。国内で初めて承認され、二〇一一年から販売されている「ノルレボ錠」の後発薬だ。

 先発薬と同じく、レボノルゲストレルという黄体ホルモン剤が主成分。性交から七十二時間以内に一錠服用すれば、八割以上の確率で妊娠を阻止できる。

 染矢さんによると、医療機関によって価格は異なるものの、ノルレボ錠は一回分で一万五千円前後、後発薬はおよそ半額で販売されている。後発薬も保険は適用されず、「まだ『念のため』飲んでおくには高い」。海外の後発薬は数百円から数千円という。

 しかも医師の処方なしに買うことはできず、医療機関の少ない地域や、週末や夜間は入手が難しい場合もある。このため染矢さんは産婦人科医らと連携し、オンライン診療や、薬局で薬剤師の対面販売を認めるなど入手方法の改善を提唱し、厚生労働相宛てのインターネット署名を展開している。

 このうちオンライン診療に関しては、厚労省の検討会が今年二月、緊急避妊薬を検討対象に加えた。「(レイプなどの)性的被害者は心の傷が大きく、医療機関受診そのもののハードルが高い」との点が考慮されたが、安易な処方での悪用を懸念する声も上がった。

 日本産婦人科医会は、対面診療の担保や、本人の内服確認、専門知識を持った医師の処方が不可欠としている。ただ、海外からの輸入薬が安価で売買されている現状がある。

 厚労省の一七年度の統計では、二十歳未満の人工妊娠中絶件数は一万四千件を超す。

 染矢さんは「性の知識があやふやなまま、望まぬ妊娠をする人も多く、出産後に虐待などのリスクも高まる。本当に必要な人が安心、安全に薬を手に入れ、その後のケアも受けられるような仕組みづくりが早急に必要」と訴えている。

後発薬のレボノルゲストレル錠1.5mg「F」=富士製薬工業提供

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