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【社会】

ゴーン前会長 昨年還流額、前年の倍 2億8000万円 年々増加

横浜市の日産本社=4日

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 中東オマーンの販売代理店に支出した日産自動車の資金のうち約五億六千万円を自身に還流させたとして、会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕された日産の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)が昨年、前年の二倍に当たる二百五十万ドル(約二億八千万円)を自身に還流させていたことが、関係者への取材で分かった。還流額は年々増加していたとみられ、東京地検特捜部はゴーン容疑者が会社私物化の度合いを強めていたとみている。

 東京地裁は五日、ゴーン容疑者の勾留を十四日までの十日間、認める決定をした。弁護人は決定を不服として準抗告したが、棄却された。

 保釈中だったゴーン容疑者は四日、日産の海外子会社「中東日産」から二〇一五年十二月〜一八年七月、友人のスヘイル・バウワン氏がオーナーを務めるオマーンの販売代理店「SBA」に複数回に分けて計千五百万ドル(約十七億円)を支出。うち計五百万ドル(約五億六千万円)を自身のペーパー会社に還流させ、日産に損害を与えたとして逮捕された。還流の際、複数のペーパー会社を経由させていたことが判明している。

 関係者によるとゴーン容疑者は一八年七月、SBAに五百万ドルを送金し、半額に当たる二百五十万ドルを自身のペーパー会社に還流させていた。一七年七月はSBAに五百万ドルを送りながら、流用額は四分の一の百二十五万ドル(約一億四千万円)だったという。

 還流が確認された当初の一五年十二月から一七年一月にかけては、一回の送金に対する流用額は数十万ドル程度だったといい、年々増額していた可能性がある。

 ゴーン容疑者を巡っては、役員報酬の不記載事件でも、記載していなかったとされる報酬を含めた総報酬額は年々増えていた。

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◆CEO予備費から 退任後も支出

 ゴーン容疑者が年々増額させていたとみられるオマーン経由の還流額は、最高経営責任者(CEO)だったゴーン容疑者の裁量で使えた予備費「CEOリザーブ」が原資になっていた。ゴーン容疑者は二〇一七年四月にCEOを退任しているが、退任後も予備費を意のままに操っていた実態が浮かぶ。

 「ゴーン前会長が『ボーナスの時期だ』と話していると本社から聞かされ、言われるがままに(オマーンの販売代理店の)SBAに送金した。明らかに不自然な支出だった」。中東日産関係者は東京地検特捜部に、こう説明しているという。

 中東日産がSBAに支払ったとされる「ボーナス」。表向きは「販売促進費」として処理され、ゴーン容疑者も「販売実績に応じた奨励金だった」と正当性を主張している。

 だが、ある日産幹部は本紙の取材に「車を造って売るという日産のコア事業に関わる販売促進費を、予備費から支出することは考えられない」と証言する。

 ゴーン容疑者が問われている二つの特別背任事件を結ぶキーワードが、「CEOリザーブ」だ。「予算外の出費が必要になったときの予備費」(日産幹部)でゴーン容疑者が創設した。

 既に起訴されている最初の事件では、ゴーン容疑者が私的な投資を巡り窮地に陥った際、信用保証で協力していたサウジアラビア人の知人に〇九〜一二年、謝礼として総額十三億円近くが支出されたとされる。

 今回の「オマーンルート」事件では総額約十七億円が支出されたが、うち約十一億円はCEO退任後だ。別の日産関係者は特捜部に「退任後もゴーン氏には会長としての権限が残り、部下に指示してCEOリザーブを使っていた。後任CEOの西川(さいかわ)広人社長はサインをするだけで、本当はどんな目的で支出されているか知らなかったはずだ」と証言しているという。

 ゴーン容疑者は退任後のCEOリザーブについて、特捜部に「私が出したのではない」と供述しているというが、ある検察幹部は「実質的には『ゴーンリザーブ』だったんだろう」と冷ややかに話した。 (小野沢健太、山田雄之)

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