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【社会】

<ドキュメント改元>両陛下、最後の地方訪問 きょう伊勢神宮に退位報告

伊勢神宮内宮に入られる天皇、皇后両陛下=17日、三重県伊勢市で

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 天皇、皇后両陛下は十七日、伊勢神宮参拝のため、三重県伊勢市の神宮内宮にある皇室用の宿泊施設「行在所(あんざいしょ)」に到着された。四月三十日の退位を控え、在位中最後の地方訪問。十八日に外宮(げくう)(豊受(とようけ)大神宮)と内宮(ないくう)(皇大神宮)の順に参拝し、退位を報告する儀式「神宮に親謁(しんえつ)の儀」に臨む。

 両陛下は行在所で、神宮祭主を務める陛下の長女の黒田清子さん、神宮の小松揮世久(きよひさ)大宮司らの出迎えを受けた。

 両陛下の伊勢神宮参拝は、式年遷宮後の二〇一四年以来五年ぶりで、即位後は一九九〇年十一月に即位礼や大嘗祭(だいじょうさい)が終了したことを報告するために参拝して以降五回目。

 今回の訪問では、皇位とともに受け継ぐ「三種の神器」のうち剣と璽(じ)(勾玉(まがたま))を皇居から携行する「剣璽動座(けんじどうざ)」も五年ぶりに実施。二人の侍従が剣と璽をそれぞれ収めた黒色のケースを携えて移動し、十七日夕に行在所に安置された。

 両陛下はこの日、東京発の新幹線で名古屋駅に到着、近鉄の臨時専用列車に乗り換えする際、駅構内に集まった市民らの熱烈な歓迎を受けた。伊勢市の近鉄宇治山田駅でも雨降る中、市民らが小旗を振って出迎え、両陛下は手を振ってこたえていた。

◆意向踏まえ静かな儀式に

 天皇、皇后両陛下は十八日、退位を報告する「神宮に親謁の儀」に臨まれる。十二日後に控えた退位に関連する十一儀式のひとつで、陛下の即位翌年の一九九〇年十一月の時に行われた「親謁の儀」と比べ、簡素な形の儀式となりそうだ。

 九〇年の「親謁の儀」は即位後初の伊勢神宮参拝で、一連の即位礼と大嘗祭(だいじょうさい)などが無事終了したことを報告した。この時は国費の宮廷費を使い、陛下は古式の黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)、皇后さまは十二単(じゅうにひとえ)姿で、ご成婚パレードの時に使用した二頭馬車に交互に乗車し、神宮の外宮、内宮を参拝した。

 当時、伊勢神宮神職で馬車で移動する両陛下を参道で出迎えた佐藤昭典さん(74)は「厳粛の中にも、馬車で進む姿のきらびやかな光景は忘れられない」と振り返る。

 今回は陛下がモーニングコート、皇后さまも参拝服で、馬車も使わない。また、儀式に参加する両陛下の交通費などは、天皇の私的活動費である「内廷費」を充てる。

 天皇の退位は憲政史上初めてで、明治以降、儀式の前例はない。退位(譲位)が恒例化していた江戸時代以前には、天皇が伊勢神宮に参拝したこともなかった。

 宮内庁幹部は「即位の時の『親謁の儀』では、伝統的な装束を着用し、馬車も使用したが、今回は粛々と静かに執り行う方針に基づき、二〇一四年の式年遷宮後の参拝形式を参考とした」と説明している。 (編集委員・吉原康和)

 

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