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【社会】

<税を追う>マイナンバーカード普及へ予算346億円 政府推進サイト低迷

 役所に出向かなくても行政手続きができるようになるとして政府が多額の費用をかけて開発したオンラインシステム「マイナポータル」が、多くの国民にとって利用しづらい状態になっている。ログインに必要なマイナンバーカードの普及が進んでいない上、国内市場シェアの半数以上を占める米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などが対応していないためだ。システムの作り方に、政府内部からも疑問の声が上がっている。 (藤川大樹)

 マイナポータルは、保育施設の利用申し込みや妊娠の届け出といった子育て関連の行政手続きがオンライン上でできる。一月現在、約九百の市区町村で可能だ。

 利用には、マイナンバーカードのICチップに記録されている住所や名前などのデータをまとめた「電子証明書」を、スマホで読み取ることが必要。チップをスマホの背面にかざすと本人確認され、サイトにログインできる。スマホ以外にもパソコンから利用できるが、専用の読み取り機の購入が必要だ。

 ICチップの読み取り機能のついたスマホは二月現在、シャープなど六社の計六十二機種のみで、アイフォーンを筆頭に、非対応の機種がある。調査会社BCN(東京)によると、国内スマホ市場での二〇一八年のメーカー別販売台数シェアは、アップルが51・4%を占め、シャープ10・9%、華為技術(ファーウェイ)9・6%と続く。政府は、アップルに対応を「働きかけている」と説明。アップルは前向きに検討しているとみられるが、数カ月から数年かかる見込みだ。

 そもそもマイナンバーカードの普及が進んでいない。発行枚数は三月現在、約千六百五十万枚で、国民の12・9%にとどまる。内閣府が昨年秋に実施した世論調査では、53・0%が「カードを取得する予定がない」と回答した。

 政府は、マイナポータルでの申請や届け出の全国での実績を「一カ月あたり約百件から約四千二百件の間」とする。人口約五十七万人の東京都杉並区では、マイナポータルからの届け出は一七年十一月のサービス開始以降、三件しかない。

 ある政府関係者は「マイナンバーカードを普及させるために、わざわざ『電子証明書』を使った弊害。本人確認は、IDやパスワードをサイトに直接入力する方法で十分だった。広く利用されるシステムにならないことは予想できた」と指摘する。

 政府は一三〜一八年度、マイナポータル関連予算として計約三百四十六億五千万円を計上。一七年度までに計約百六十五億八千万円を執行した。

◆利便性も悪くカード必須に疑問

 「マイナンバーカードがなくても、アクセスできるようにする必要があるのでは」。二月下旬の衆院内閣委員会で、立憲民主党の初鹿明博氏がマイナポータルを取り上げた。

 マイナンバー制度は国内に住民票がある全ての人に十二けたの個人番号を割り当て、税や社会保障などの情報をひも付ける仕組み。一六年一月からマイナンバーカードが交付され、翌年十一月にマイナポータルの本格運用が始まった。

 カードがないとログインできない仕組みにしたことについて、内閣府の担当者は「IDやパスワードを入力する方式は、情報セキュリティーが弱い」と説明する。ただ、システムに詳しい政府関係者は「諸外国では、電子証明書による本人確認は、機密情報にアクセスする場合に限られる」と疑問を呈する。

 白鴎大学の石村耕治名誉教授(税法)は「行政サービスのデジタル化は世界的な流れだが、モバイル端末で利用しやすい仕組みでなければいけない。カードがないとアクセスできないマイナポータルは、ガラパゴス化している」と指摘した。

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