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【社会】

<統一地方選>厚い壁に風穴 鹿児島・垂水 市制60年、女性市議が初誕生

鹿児島県垂水市議選で当選を決めた池田みすずさん=21日夜、垂水市で

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 厚い壁に風穴をあけた。二十一日投開票の統一地方選は、女性議員がいない「ゼロ議会」も焦点だった。約六十年間一人も女性議員がおらず、全国的に注目された鹿児島県垂水市では初の女性市議が誕生。一方で、壁を打ち破ることができなかった候補も。駆け抜けた選挙戦が終わった。

 「政治経験がない素人だが、市政と向き合う熱い思いは誰にも負けない」。鹿児島県垂水市議に当選した元事務職員池田みすずさん(45)は強調した。一九五八年の市制施行以来、初の女性議員となる。からした声を振り絞り「経験したことのない苦しい戦いだった」。「今までにない女性目線で、思いやりとぬくもりを実感できる社会づくりに頑張っていく」と話した。

 今回、池田さんともう一人、自営業の高橋理枝子さん(53)が二十年ぶりの女性候補だった。高橋さんは及ばなかったが「一石を投じることはできた。諦めずに頑張りたい」と先を見据えた。

 二人の支援に奔走した同県南さつま市議の平神純子さん(62)は「初の女性議員として期待されている。議会でどんどん質問し、市民の声を届けてほしい」と池田さんにエールを送った。高橋さんの敗戦には「選挙の難しさを感じた。課題を次に生かしたい」と話した。

 改選前は埼玉県で唯一、女性ゼロ議会だった羽生市でも、NPO法人理事の斎藤万紀子さん(37)が当選。「女性が議会にいないと駄目だよね」という応援が多くの女性から寄せられたといい「児童虐待問題など支援の手が届きにくい分野の施策を充実させていきたい」と熱く語った。

 全国で女性ゼロ議会の割合が最も高い青森県の六戸町では保育園長の松村英子さん(67)が唯一の女性候補として三度目の町議選に挑戦したが落選。「風は吹いていたと思ったが壁は厚かった」と肩を落とした。

 青森県では無投票でゼロが確定した議会も。使用済み核燃料再処理工場が立地する六ケ所村は記録が残る四七年以降ゼロが続く。ある村関係者は「地域や親族の取りまとめ役の男性が代々議員になる慣習が根強い」とみる。自民党の櫛引ユキ子県議は「県民の意識改革が必要だ」と話した。

◆LGBT 水戸で初当選「私として戦った結果」

 今回の統一地方選では、各地で性的少数者(LGBT)だと公表した候補者が挑んだ。依然偏見も根強いが、理解は徐々に広がっている。水戸市議選ではレズビアンの候補が当選し「ありのままの私として立候補した結果が表れた」と喜んだ。

 東京都渋谷区は二〇一五年、同性カップルを結婚に相当するパートナーと認める制度を創設。同様の制度を設ける自治体も増えてきた。今年三月には茨城県でLGBTへの差別禁止を明文化する県条例改正案が可決された。

 行政の対応が進む一方で、無理解な言動は絶えない。水戸市議選で初当選した介護福祉士滑川友理(ゆり)さん(32)はレズビアン。あいさつに行った際「気持ち悪い」などと言われた。

 昨年、自民党の杉田水脈衆院議員がLGBTカップルは「生産性がない」とする投稿を月刊誌に寄せ、批判されたことも記憶に新しい。滑川さんは「理解不足が大きな原因。心の性別や好きになる対象は人それぞれのはず」と強調。当選を決めた後、「少数派の気持ちを反映させ、人権問題に取り組みたい」と抱負を語った。

 奈良県生駒市議選で落選した和泉美鈴さん(35)は戸籍上は男性だ。男性として国政選挙にも出馬したことがある。だが、自分の気持ちに正直でありたいと今回は女性としての通称名で戦った。

 

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