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【社会】

<ドキュメント改元>横浜の声楽家・五味さん、1日出産予定 令和の時代 希望託し

出産を控えた五味史さん(左)と母の平井洋子さん=名古屋市中村区で

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 元号が「平成」から「令和」に変わる五月一日、出産予定の母たちがいる。声楽家の五味史(あや)さん(31)=横浜市=もその一人。音楽のプロになるという自身の夢を追い続けた平成の時代を「苦労もしたけど幸せだった」と振り返り、新時代を生きるわが子が、周囲に支えられながら豊かな人生を歩んでほしいと願う。 (今村節)

 「また蹴った」。初産を控え、名古屋市の実家に里帰りした五味さんは、大きなおなかをいとおしそうになでた。傍らでは、声楽家の先輩にも当たる母の平井洋子さん(70)=名古屋市中村区=が見守る。

 五味さんは洋子さんの影響もあり、高校時代から声楽家を目指し始めた。同世代の子たちがプリクラやカラオケに夢中になる中、ひたすら練習に打ち込んだ。洋子さんは週末のレッスンの送り迎えに加え、自宅ではピアノの伴奏役になって娘を支えた。

 五味さんが大学卒業後にチャンスを求めて東京での一人暮らしを決めた頃、洋子さんの肺がんが分かった。上京をためらっていた娘を、洋子さんは「決めたことはやり遂げなさい」と送り出した。

 幸い洋子さんの手術は成功し、五味さんは二十三歳で念願のプロに。東京で商社マンの男性と結ばれ、新たな命も授かった。「あの時、母が背中を押してくれなかったら、この子とも出会えなかった」

 昨年九月に五月一日が出産予定日と分かった。一時は流産の危機もあったが、無事に臨月を迎えた。「不安ばかりで、しばらくは予定日が新元号の日と気づかなかった」。改元ムードの高まりで、最近になって意識するようになった。

 赤ちゃんは男の子で、名前は新時代から連想した「新(あらた)」が第一候補だ。「新しいことに挑んでほしい」。いつの日か、わが子が夢を語った時、背中を押そうと決めている。かつて母にそうしてもらったように。

◆結婚・出産ラッシュ?

 少子化傾向が長引く中、「令和」効果により出生数が押し上げられるとの予想が専門家から出ている。約20年前の「ミレニアム」ブーム時と同様に、新元号に合わせて結婚するカップルが増えるという見込みが背景にある。

 昭和天皇の崩御に伴う平成改元時と異なり、今回は「令和初日」があらかじめ5月1日に決定。各地の自治体では、この日の婚姻届ラッシュに備える動きが出ており、以降「令和婚」を目指した届け出が相次ぐことも予想される。

 「ミレニアム」の2000年には、結婚件数が前年比4.7%増の約79万件と急伸した。右肩下がりの傾向にある出生数も、この年は前年比1.1%増の約119万人で「ミレニアムベビー」と話題になった。

 翌01年は再び減少に転じたものの、第一生命経済研究所の首席エコノミスト熊野英生さん(51)は「本来はもっと減るところ、減少が緩やかだった」と指摘。「ミレニアム効果」による出生数の押し上げは、00〜02年で1.0〜2.5%ほどあったとみる。

 令和改元について「(妊娠期間を踏まえると)元年に出生数が増えるとは断言できないが、結婚の増加に伴って来年以降の3年間は増えるのではないか」と予測する。

 

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