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【社会】

ブタ体内で人の膵臓 年度内にも実験 東大、iPS利用

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 東京大の中内啓光特任教授は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って、ブタの体内で人の膵臓(すいぞう)をつくる研究を実施する方針を明らかにした。将来、移植医療用として使うのが目的。学内の倫理委員会と国の専門委員会による二段階審査で認められれば、二〇一九年度中にも国内で初めて人の臓器を持つ動物をつくる実験に着手する。

 臓器移植を希望する人に対して、提供者が少ない状態は慢性的に続いており、中内氏は「まずは品質を確かめる。十年以内に治療に役立てたい」と話している。

 人の臓器を持つブタは、動物の受精卵(胚)に人の細胞が混じった「動物性集合胚」からつくる。文部科学省は、こうした胚を子宮に戻して動物を誕生させるのを禁じてきたが、三月に指針が改定され研究が解禁されたのを受けて、チームは研究に取り組むことにした。

 計画では、遺伝子を改変し膵臓ができないようにしたブタの受精卵に人のiPS細胞を入れ、親ブタの子宮に戻す。胎児のブタの体内にはiPS細胞由来の人の膵臓ができると期待される。出産前に胎児を取り出し、機能や中に含まれるiPS由来の細胞の量などを調べる。

 中内氏らは、これまでに同様の方法でマウスの膵臓を持つラットをつくることに成功。米スタンフォード大で人の膵臓を持つヒツジをつくる研究を進めている。今回は成長が早く、臓器の形や機能が人に似ているブタを選んだ。

 今回の計画では、ブタの体内でできた膵臓を人に移植することはしないが、将来的には、血糖値を下げるインスリンが膵臓から分泌されなくなる1型糖尿病などの患者に移植し、治療に役立てたいとしている。

<動物性集合胚> 動物の受精卵(胚)に、人の胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を注入したもの。動物と人の区別があいまいな生き物ができかねないとして、これまで動物の子宮へ戻すことは禁止されていたが、人の組織や臓器を作る研究に役立つ可能性があり、解禁された。動物性集合胚を人の子宮へ移植することや、生まれた動物の子どもを他の動物と交配させることは禁止されている。

 

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