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【社会】

<私の平成のことば>過労死、格差 残った課題

◆社員悪くありません 暴走許す組織に違和感

 さいたま市大宮区 税理士・牛越健治さん(66)

 ◇経営破綻した山一証券の野沢正平社長 社員は悪くありませんから。

 一九九七(平成九)年十一月の山一証券の経営破綻は、上場企業に当時勤めていた税理士牛越健治さん(66)にとっても大きな衝撃だった。会見で「社員は悪くありませんから。悪いのは私たち(経営陣)です」と涙ながらに絶叫する野沢正平社長。牛越さんは社員をかばう姿勢に共感しつつ、不正の暴走を許す組織の本質を見た。「山一では社員が組織に埋没してしまっていた」

 牛越さんの勤務先でも上司に意見が言えないイエスマンがはびこり、「人ごとではない」と感じた。元々税理士として独立を考えていたが、山一問題をきっかけにその意を強くした。

 平成はオリンパスや東芝など名門企業の不祥事が相次いだ。過労死や過労自殺も招いた。多くは、上司に物言えぬ企業風土が底流にあった。「こうした問題を解決しないまま令和に移ろうとしている」と危ぶむ。

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◆聖域なき構造改革 派遣労働希望のち疑問 

 千葉県松戸市 学童職員・小島隼人さん(35)

 ◇小泉純一郎首相 聖域なき構造改革

 「聖域なき構造改革」は、二〇〇一(平成十三)年四月に就任した小泉純一郎首相が声高に掲げたスローガン。道路公団や郵政の民営化に次々と着手した小泉内閣は、派遣労働の規制緩和にも踏み切った。

 「働き方に選択肢を増やしてくれた」。〇五年に就職活動中だった千葉県松戸市の学童クラブ職員小島隼人さん(35)は小泉氏の政策に喝采を送った。少し上の世代は就職難に直面し、大企業が相次いでリストラを断行した時期。小泉氏の改革路線に希望を見た。

 だが、雇用の規制緩和は非正規労働者を増大させ、正規労働者との格差が拡大。一二年に都内の児童館で非正規労働を一時経験した小島さんは「ボーナスもなく、正規との賃金の差に大きな不安を覚えた」。規制緩和は正しかったのか、疑問を感じる。増え続ける非正規が正当に評価される労働環境が整うことを願う。

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◆脱原発運動を支えた核科学者・高木仁三郎氏

 楽観できないのは、この末期症状の中で巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。

 群馬県高崎市の無職山本恒夫さん(65)は二〇一一(平成二十三)年三月の東京電力福島第一原発事故から間もなく、高木氏が事故の十一年前に書き残した著書を読み、感銘を受けた。「日本の社会が高木氏のメッセージを真摯(しんし)に受け止めていたならば大惨事は避けられたかもしれない」と指摘し、原発再稼働を推進する安倍政権の政策を「高木氏のメッセージを闇に葬ろうとしている」と危惧する。

◆オバマ米大統領

 彼ら(被爆者)の魂はわれわれに語りかける。

 広島に原爆を投下した米国の現職大統領としてオバマ大統領が二〇一六(平成二十八)年五月二十七日、初めて広島市を訪問。被爆者が見守る中、約十七分間の演説で核廃絶を訴えた。広島平和記念資料館で、焼け焦げた被爆者の弁当箱を見て深い悲しみに襲われたという東京都大田区の会社員石原啓一さん(55)は「オバマ氏の演説は平和な未来につながる出来事として感動した」と話す。

 

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