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【社会】

戦争体験 映像でつなぐ 市民団体、故人インタビュー上映

サイパン島で戦った元兵士のインタビュー映像を基に説明する「戦場体験放映保存の会」のメンバー=5日、東京都内で

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 高齢化し数も少なくなった戦争体験者の貴重な証言をどう伝えるか−。継承に取り組む市民団体は、死亡した元兵士らが生前に残した証言映像を活用したり、インタビューの録音テープを使ったりと、次世代に訴えるために模索を重ねている。

◆初の試み

 五月四〜五日、「戦場体験放映保存の会」(東京)が都内で開いた集会。会場内を四ブースに分け、戦争経験のない同会のメンバーが故人四人の証言映像をモニターに映しながら説明を加えた。いずれも同会が生前に収録したインタビュー。毎年この時期に開いている集会では従来、生存者の証言を聞く形を取っており、故人の映像活用は新しい試みだった。

 ビルマ(現ミャンマー)・インパール作戦での敗走を経験した男性は、行き倒れた日本兵の死体があちこちに転がり「白骨街道」と呼ばれた当時の状況を語る。「生き地獄とはこれを指す」「死体が死体を呼ぶ」「(倒れた兵士に)声を掛ける余力が(自分に)なかった」。重苦しい証言が続いた。参加者は映像を食い入るように見つめた。

 日本の委任統治領で日本人も住んでいたサイパン島に関する証言も。最精鋭とされる落下傘兵として同島の防衛に当たった男性は、陥落前後の悲惨な状況を生々しく語る。

 会のメンバーは参加者の質問や要望にも応じながら映像を流していく。参加者からは「亡くなった人の話が聞けるのは貴重」との感想が出た。

 このほかにも中国に歩兵として出征した男性や、学徒隊の一員として沖縄戦に遭遇した女性の証言が会場で放映された。

 同会の中田順子さんは「参加者の反応は良かった。長時間に及ぶインタビューの内容を時系列に沿って整理して伝えているので、理解しやすい面もあると思う」と手応えを語る。

◆迫 力

 昨年十二月、「不戦兵士・市民の会」(千葉)が都内で開いた集会では、千島列島・シュムシュ島(占守島)の守備隊員としてソ連軍と対峙(たいじ)した男性=当時(96)=のインタビュー音声が流された。男性が当日、体調が悪くて会場に来られないため、事前に収録した音声が活用された。

 「本土決戦で日本が勝利するために、自分たちは捨て石になると思っていた。いよいよ最期だと覚悟した」「でも(ソ連側の捕虜になった後に)戦後の日本のために何をすべきか考えた方がいいと思い直した」。音声だけとはいえ、当事者の詳細な証言には迫力と説得力が伴う。参加者はじっと聞き入っていた。

 

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