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【社会】

将棋・豊島新名人 AI相手に独自の感覚

第77期名人戦7番勝負の第4局で佐藤天彦名人を破り、名人位を獲得した豊島将之二冠=17日、福岡県飯塚市で

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 将棋の第七十七期名人戦で、挑戦者の豊島将之(とよしままさゆき)二冠(29)が初の名人位を獲得した。三冠となり、棋界のトップに立った理由は、人工知能(AI)を活用した独自の研究手法にあるかもしれない。将棋を始めた四歳から養ってきた自身の感覚に、「人間を超えた」とも言われるAIの特長を取り込もうとしている。

 きっかけは二〇一四年に出場した「電王戦」。棋士が将棋ソフトと対戦する非公式棋戦だ。豊島名人は事前に、初めてソフトと千局近くを指して臨み、勝ち星を挙げた。当時は、中盤強化に課題を感じ、勉強法を模索していた。この経験から棋士仲間と対局や局面を検討する研究会から遠ざかり、自宅でAI相手に研究を進めるスタイルに切り替えた。今は、人間との研究会はやっていない。

 研究では自身の対局で気になった局面をソフトに入れ、AIが示した最善手を検討する。そこで大切にしているのは自身の感覚。「AIは正確で『将棋の真理』に相当近い。でも自分の考えと食い違ったまま、その通り指しても後が続かない。だから自分も好きな手で、AIも評価する手を増やす感じでやっています」

 昨春以降は特に、棋力の充実を感じてきた。「持ち時間が余り、優位を保ったまま勝てる将棋があった。AIの影響を受けつつ、自分が培ってきたものも割と生かせている感じがしている」。昨夏には棋聖、王位を奪取して二冠となり、一気に花開いた。

 指導棋士の竹内貴浩四段(31)はプロ養成機関「奨励会」を退会する一四年春まで、豊島名人と研究会をしてきた。強さについて「AIが示す手は人間を超えている。理解して消化し、自分の中に取り入れられるのはプロ棋士でも一部。豊島先生は自分の評価基準を持ち、AIの手を判断できることが大きい」と分析した。 (世古紘子)

 

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