東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

加藤典洋さん死去 71歳 「敗戦後論」文芸評論家

写真

 「敗戦後論」などの著作で戦後日本の本質を問い続けた文芸評論家で早稲田大名誉教授の加藤典洋(かとうのりひろ)さんが十六日、肺炎のため死去した。七十一歳。山形市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻厚子(あつこ)さん。

 東京大文学部仏文科卒業後、国立国会図書館で勤務する傍ら、一九八〇年代初頭から文芸評論家として活動を開始。八五年の単行本デビュー作「アメリカの影」で戦後日本を覆う米国文化の影響を論じ、注目を集めた。

 九五年の論文「敗戦後論」では、平和主義を唱えながらも世界で戦争を続ける米国に従属するという戦後日本の「ねじれ」を指摘。日本がアジアへの加害責任と向き合うためには、先に日本の戦没者を弔う必要があるなどと問題提起し、大論争を巻き起こした。

 その後の著作でも、親米、軽武装、経済発展を掲げる「現実的平和主義」に安住してきたとして、いわゆる「護憲派」を厳しく批判、在日米軍基地を撤去するために憲法九条の見直しを訴えた。

 明治学院大、早稲田大で教授を歴任。文学からサブカルチャーまで幅広い視点で評論した。「敗戦後論」で伊藤整文学賞、「小説の未来」などで桑原武夫学芸賞を受賞。他の著書に「3・11」「村上春樹は、むずかしい」「9条入門」など。

 昨年秋に体調を崩し、入院治療中だった。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報