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【社会】

五輪の波 九十九里先乗り サーフィン会場 千葉・一宮

東京五輪のサーフィン会場となる千葉県一宮町の釣ケ崎海岸=4日、千葉県一宮町の釣ケ崎海岸で

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 経済波及効果が全国で約32兆円と試算される来年の東京五輪・パラリンピックを前に、五輪で初めて実施されるサーフィンの競技会場となる千葉県一宮町が“特需”を先取りしている。世界が熱狂するスポーツの祭典の場に選ばれた人口1万2000人余りのサーフタウンでは、そのブランド力を生かした町おこしが活況となっている。

 過疎化と産業衰退が進む房総半島で、一宮町は異彩を放つ。年間約六十万人訪れるサーファーに消費を促し、波乗りが目的の移住者の開業を支援するなど「サーフォノミクス」と称した地方創生策が軌道に乗っている。

 若い親子が増え、海が近い町立の東浪見小は一時の廃校危機から最近十数年で児童数が約一・八倍とV字回復した。馬淵昌也町長は「サーフィンが町を支える新たな柱になりつつある。不可分の要素として町民全体が捉えられるようにしたい」と力を込める。

 五輪会場となる九十九里浜南端の釣ケ崎海岸を舞台に四年連続で開催している国際プロ大会「一宮千葉オープン」は、五輪開催地として機運醸成に大きな成果を上げている。ちばぎん総合研究所が昨年八月に県民を対象に五輪の県内開催の認知度を調べた結果、サーフィンが10%台のレスリングなどの他競技を引き離して69・5%と突出して高かった。

 今年は、ともに一宮町出身の稲葉玲王(れお)選手が三位、大原洋人選手が五位と活躍。一日で四千人超の観客が訪れるなどにぎわいを見せ、一宮町サーフィン業組合の鵜沢清永(きよひさ)組合長は「去年までとは比にならない。普段サーフィンをしない方に来てもらっているのがうれしい」と手応えを口にした。

 一方で、国内屈指の力強い波は深刻な水難事故も誘発している。九十九里浜では昨夏の三カ月間でサーフィン中に溺れるなどの事故が十件と前年度比で三倍以上に急増し、銚子海上保安部が住民らに広報文書で注意喚起する異例の事態となった。交通課の担当者は「五輪の会場に決まり、サーファーの数が増えているのも背景にあるのでは」と原因を推測する。

 主要なサーフィン大会の警備を担うウォーターリスクマネジメント協会の今西淳樹理事長は「九十九里は日本一長いビーチ。その分、潮の流れも複雑」と指摘する。一宮千葉オープンでは「五輪に向けいくら盛り上がろうと、一人でも亡くなれば一気にイメージは悪くなる」と対策を徹底。水遊びする親子から波打ち際に立つカメラマンにまで目を光らせて事故を防いだ。

サーフィンの一宮千葉オープンを訪れた観客

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