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【社会】

復興の酒 日本一に乾杯 福島県7連覇「努力認められた」

福島県の日本酒を前に、売れ行きを話す「日本橋ふくしま館MIDETTE」の石川朋浩館長=21日、東京・日本橋で

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 酒類総合研究所(広島県)が発表した全国新酒鑑評会の都道府県別の金賞数で、福島県は7年連続日本一を達成した。原発事故による負のイメージを払拭(ふっしょく)しようと蔵元たちが連携して取り組んできた成果で、東京・日本橋にある県のアンテナショップ「日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテ)」でも人気を集めている。 (杉戸祐子)

 売り場に「ふくしまの酒 7年連続日本一」と書いたのぼりやポスターを飾り、祝福ムードのミデッテ。石川朋浩館長(43)は「蔵元の努力が認められたのがうれしく、七年連続という偉業を達成した時に販売できるのは誇らしい」と語る。

 今回の受賞酒は来月七日から販売予定で、現在は受賞した蔵元が手掛けた酒十七種類を販売。館内の飲食コーナーで飲み比べ(三種五百円、五種七百円)も実施している。飲み比べは通常は一日二十〜三十セット程度の販売だが、十七日の七連覇の発表後、百セット以上の注文があった日も。味わった上で買い求める客も相次いでいる。

 足立区の会社員男性(57)は「復興のために蔵元らが協力して酒造りに力を入れていると知り、飲んでみたいと思った」と来館。「福島の酒を初めて味わって、復興にもプラスの力になれたら」と話した。

 県観光物産交流協会によると、ミデッテと福島市にある県観光物産館の売り上げの合計は昨年度、初めて十億円を超えた。このうち酒類が24%を占め、銘菓や工芸品を上回った。県産の酒は復興のシンボルに育っている。

 石川館長は「福島の酒は米と水が良く、造り手の技術と熱意がある」とアピールし、「まず首都圏の人においしいと感じてもらい、次は実際に福島に足を運んでもらえたら」と願う。問い合わせはミデッテ=電03(6262)3977=へ。

全国新酒鑑評会の金賞数で7年連続日本一となり、記念撮影する同県の内堀雅雄知事(前列中央)ら=17日、県庁で

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◆蔵元連携で快挙 「門外不出技術も共有」

 今年の全国新酒鑑評会では、全国から出品された857点のうち金賞は237点。福島県は最多の22点が金賞を得た。

 県では原発事故に伴う風評被害にさらされたことを機に、各蔵元が酒造技術を共有し、品質の底上げを図ってきた。「県内の蔵元の情報交換が密になった。門外不出の技術を共有した結果だ」。県酒造組合の有賀義裕会長(65)は胸を張る。

 組合は日本酒の職業訓練校「福島県清酒アカデミー職業能力開発校」で杜氏(とうじ)の育成を後押し。仕込み作業の方法や酵母の割合など、味を決める技術を丁寧に教える。

 毎年末、県内の蔵元の杜氏らが集まり、日本酒の出来を左右する酒米の質を分析。その年の酒米に合った酒造りを話し合うのも恒例行事だ。

 研究機関も支援する。県ハイテクプラザの会津若松技術支援センター鈴木賢二副所長(57)は「搾り作業の時期や蔵の温度管理など、金賞獲得のためにマニュアルを作り、毎年改訂して県内の蔵元に配布する」と説明する。

 県は、海外での日本酒ブームを追い風に主に米国や韓国へ輸出。日本酒の輸出額は2012年度の約9000万円から、17年度は約2億円に倍増している。

 

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