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【社会】

東名50年 新設から維持へ 進む老朽化、大規模修繕が本格化

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 東名高速道路は26日、全線開通から50年を迎えた。東京インターチェンジ(IC、東京都世田谷区)−小牧IC(愛知県小牧市)間の347キロを結ぶ東名は名神高速と接続し、東京、名古屋、大阪の三大都市圏をつなぐ大動脈として、日本の経済や生活を支えてきた。近年は老朽化を見据えた大規模な修繕工事が本格化している。 (榊原智康、杉原雄介)

 中日本高速道路によると、東京−名古屋間の所要時間は、東名開通で約五時間短縮。利用台数は一九七〇年度に一日平均十四万二千台だったが、二〇一七年度には四十一万二千台と約三倍に拡大した。東京、神奈川、静岡、愛知の沿線四都県の製造品出荷額が開通前の約七倍に増加するなど、累積の経済波及効果は六十兆円に上る。

 東名をはじめ高速の老朽化対策として、中日本高速は総額一兆円を投じ、一五年度から橋やトンネルなどの更新・修繕工事を進めている。

 並行して走る新東名高速は豊田東(愛知県豊田市)−御殿場(静岡県御殿場市)両ジャンクション(JCT)間などが開通。海老名南JCT(神奈川県海老名市)までの全線開通予定は二〇年度で、東名と新東名による「ダブルネットワーク」が完成する。

 二十六日には静岡県小山町の足柄サービスエリア(SA)で五十周年イベントが開かれ、中日本高速の宮池克人社長が「五十年前は人類が初めて月に着陸した年。東名も老朽化し、リニューアルを進めている。今後も安心して使える道路を維持したい」と話した。

 五輪三連覇などを達成した元レスリング選手の吉田沙保里さん(36)も登場し、地元の子どもたちと一緒に「50」の字と富士山をかたどった記念モニュメントの除幕式にも参加した。

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◆労働人口減 作業の効率化課題

 東名高速道路の全線開通から半世紀が経過した。二〇一二年の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故をきっかけに点検が義務付けられる一方、橋やトンネルなどの老朽化も進行。高速会社は、道路新設から維持へと軸足を移しつつある。 (榊原智康)

 九人の命が失われた笹子トンネル事故の後、道路法が改正。高速の橋やトンネルの点検は五年に一度の実施が義務付けられ、原則として壁などの近くで目視することも規定された。

 事故前に中日本高速が自主的に実施していた点検の間隔は五〜十年で、場所によっては離れた所から双眼鏡で見る方法も採用していた。法改正を受けて高速各社は点検態勢を強化した。

 中日本高速管内の点検対象は橋四千三百九十六カ所、トンネル三百七十五カ所などと多い。現在は人手に頼るが、労働人口の減少が見込まれる今後、同社を含め高速各社にとって作業の効率化が課題になる。

 省人化に向けた官民の取り組みも進む。国土交通省は三月、点検に関する要領を見直し、目視に加えて小型無人機ドローンやロボットを使えると定めた。中日本高速の子会社は、ケーブルで橋桁をつる「斜張橋」で点検に使うロボットを開発、人工知能(AI)の活用も検討する。

 中日本高速管内では、供用後五十年を過ぎた道路は四分の一、三十年超の道路は六割に上る。同社が一五年度から取り組む更新・修繕工事「リニューアルプロジェクト」は、橋の道路下にある床版(しょうばん)を取り換えるなどこれまでにない規模となっている。

 同社の一九年度事業計画では、改築を含めた道路「新設」の予算は約五千六百億円、維持修繕の予算は約五千億円とほぼ同規模。維持修繕費は今後さらに増え、新設予算を上回る見通しという。道路の保全問題に詳しい名古屋大の中村光教授は「道路は『造るもの』から『守るもの』へと考え方が変わった。予算や人も限られる中でどう守っていくのか、知恵を出し合っていく必要がある」と指摘する。

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