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【社会】

見えない動機 川崎殺傷 「珍しいほど物証出ない」

岩崎容疑者が小学校の卒業文集に書き込んだ将来についての記述(一部画像処理)

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 川崎市多摩区で私立カリタス小の児童と保護者が殺傷された事件で、一日も多くの人が現場を訪れ、手を合わせた。神奈川県警の捜査では、事件直後に首を切って自殺した岩崎隆一容疑者(51)の動機の解明が難航している。県警は多数の人を狙った計画的犯行とみているが、自宅の捜索で動機につながる物は見つからなかった。長期間引きこもりがちだったという生活実態もつかめていない。 (土屋晴康)

 県警は事件翌日の五月二十九日、同市麻生区の岩崎容疑者宅を捜索した。居室にあったのは、犯行に使った包丁が入っていたとみられる四つの空き箱、海外の殺人事件を扱った古い雑誌二冊、ノート、テレビ、ゲーム機など。

 包丁二本は、二月に東京都町田市の量販店で購入した可能性が高く、県警は三カ月以上前から準備していたとみている。だが、動機につながる痕跡が残っていることの多いパソコンやスマートフォンは発見されず、所持していなかったとみられる。ノートにも犯行をうかがわせる記述はなかった。捜査幹部は「これほど何も出てこないのは珍しい」と漏らす。

 近所の人らによると、岩崎容疑者は幼少時から、八十代の伯父夫婦と暮らしていた。小中学校の同級生の多くが「印象が薄かった」と語る。一方で、中学三年当時の担任の男性(79)は「落ち着きがない子という印象」と振り返り、小学校の同級生の女性(51)も「他の男子に理由もなく突っかかったり、授業中にふらふらと校庭に出て行ったりしたこともあった」と話した。

 最近の生活の様子も判然としない。伯父夫婦が介護サービスを受けるに当たり、親族から何度も相談を受けた川崎市は「長期間働いておらず、引きこもりがち」「家族とコミュニケーションが取れていない」と聞いたと明かした。親族は、第三者が家に入ることへの岩崎容疑者の反応を心配していたという。

 市の説明では、伯父夫婦は食事を作って冷蔵庫に入れ、小遣いも渡していた。犯行時、岩崎容疑者のジーンズのポケットには、現金約十万円が入っていた。

 県警は岩崎容疑者の交友関係などを調べているものの、親族以外に関わりがあった人物は見つかっていない。カリタス小とのつながりも不明なままだ。捜査幹部の一人は「犯人が死亡した他の事件でも、ここまで手がかりが少ない事件はないのでは」と語った。

事件現場で手を合わせる人たち=1日、川崎市多摩区で

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